営業目標は設定したものの、目標達成までの具体的な行動計画(アクションプラン)が描けていないケースは少なくありません。そうした状況では、個人の頑張りに依存した属人的な営業になりやすくなります。
本記事では、営業アクションプランの定義から、5ステップの立て方、書き方、実行、改善のポイント、さらにSFA/CRMを活用したデータに基づく運用方法まで、実務で活用できるレベルで解説します。
この記事の内容
営業アクションプランとは

目標達成に向けた行動計画の全体像と、営業活動における役割を整理します。
アクションプランの定義
アクションプランとは、目標達成に向けて、「いつ、誰が、何をするか」を定めた行動計画です。営業では、売上目標というゴールと現状とのギャップを埋めるための道筋を示すものです。
アクションプランは、大きく組織レベルと個人レベルの2つの単位で作成します。組織レベルでは部門やチーム全体の行動方針を定め、個人レベルでは担当者ごとの具体的タスクを設計します。
また、四半期や年度単位の中長期プランと、週次、月次単位の短期プランを組み合わせることで、日々取り組むべき行動と、中長期的な方向性の両方を明確にできます。
行動計画・KPIとの関係
「目標」「KPI」「アクションプラン」は、それぞれ役割が異なります。
- 目標:最終的に達成したいゴール
- KPI:目標への到達度を測る中間指標
- アクションプラン:KPIを達成するための具体的な行動計画
目標はゴールそのもの、KPIはゴールへの到達度を測る中間指標、アクションプランはそのKPIを達成するための具体的行動です。
KPIだけを設定しても、具体的なアクションプランがなければ、「何をすればいいかわからない」状態が生まれやすくなります。アクションプランは、目標やKPIを実際の営業活動へ落とし込み、着実に成果へ結び付けるための設計図として機能します。
営業アクションプランを作る2つのメリット
アクションプランは「記録のための書類」ではなく、営業活動の質と効率を同時に高める手段です。適切に運用することで、以下のようなメリットがあります。
営業活動が効率化される
やるべきことをスケジュールに落とし込むことで、優先順位が明確になります。「今日何をすべきか」を毎回考える手間がなくなり、行動の抜け漏れを防げます。複数の案件を並行して進める場面では、計画的に営業活動を進めやすくなります。
マネジメントが効率化される
誰が・何を・いつやるかが可視化されることで、マネージャーは個別にヒアリングしなくても進捗を把握しやすくなります。また、問題が起きた際の的確なフィードバックや、人材・リソースの配置判断もしやすくなります。チーム全体の状況を把握しやすくなることで、より効果的な営業マネジメントにつながります。
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アクションプランが機能しない主な原因
アクションプランを作成しても、運用されずに形骸化してしまうケースは少なくありません。その多くは、「作ること」自体が目的になってしまうことが原因です。
アクションプランの立て方を実践する前に、よくある失敗パターンを確認しておきましょう。
- 数値が設定されていない:「顧客に連絡する」といった曖昧な計画では、進捗を測れません。架電○件・商談○件のように定量化されていなければ、実行したかどうかが判断できません。
- 行動記録と切り離されている:計画を立てても実績を入力する仕組みがなければ、計画と現実の乖離が見えません。差異がわからなければ改善につなげることも難しくなります。
- Excelなどで個人管理している:個人のPCだけで管理すると、チームへの共有・更新がされにくくなります。更新コストが高いことも、運用定着を妨げる要因です。
- リスクを想定していない:計画どおりに進まない事態を想定していないため、少しの遅れやトラブルでも立て直しが難しくなります。想定外の対応をあらかじめ組み込んでおくことが、状況の変化にも柔軟に対応できます。
これらの失敗パターンを踏まえておくと、この後に紹介する5つのステップで、なぜそれぞれの設計が重要なのかを理解しやすくなります。
営業アクションプランの立て方・書き方|5ステップ

目標設定からスケジュール化・形式選定まで、5つのステップで順に解説します。
ステップ1:目標を設定する
まず大きな売上目標を設定し、KPIツリーを活用して達成に必要な指標へ分解します。月間売上目標をそのまま管理しようとしても、日々の行動に落とし込めません。新規リード数、商談数、受注数、アップセル数などに分解することで、アクションプランを設計しやすくなります。
例えば、月間受注3件を目標とし、商談化率が30%であれば、商談数は10件必要です。さらに、その商談数を達成するために必要な架電件数、訪問件数、紹介依頼件数の目標を逆算して設定します。「受注3件」という目標のように行動レベルまで落とし込むことで、日々取り組むべき内容が明確になります。
ステップ2:目標達成に必要なタスクを洗い出す
細分化した目標ごとに、達成に必要なタスクを洗い出します。受注3件に向けたタスクの例を挙げると、以下のようになります。
- 毎日○件のテレアポを実施する
- 既存顧客○件から紹介を依頼する
- 週○件の商談をおこなう
- 提案資料の内容を改善する
- 電子契約を導入してリードタイムを短縮する
タスクを洗い出す段階で、優先度の高いものと後回しにできるものが自然に見えてきます。すべてを同じ優先度で進めるのではなく、受注への影響度が大きいタスクから取り組むことが重要です。
ステップ3:リソースを分配する
各タスクに必要な工数を見積もり、担当者・予算・時間を配分します。組織レベルのプランでは、誰がどのタスクを担当するかの判断が実行可能性を左右します。
工数は想定より多くかかることも少なくありません。過去の実績データがある場合は参考にし、余裕を持たせたスケジュールを組むことが大切です。。
ステップ4:タスクをスケジュールに落とし込む
各タスクには、担当者と期日を具体的な日付で設定します。「今月中」のような曖昧な期限ではなく、「〇月〇日まで」のように日付を明確にすることで、進捗を管理しやすくなります。
突発的な対応やトラブルを前提に、余裕を持たせた期日設定が求められます。組織のプランであれば、メンバーへの共有と確認のステップも計画に組み込みます。
ステップ5:アクションプランの形式を決める
アクションプランに決まった書式はありません。箇条書きや表形式でも管理できますが、、ガントチャート形式を活用すると全体の進捗を一目で把握しやすくなります。ExcelやPowerPointで作成でき、テンプレートも多数公開されています。
チームで運用する場合は、SFA/CRMなどのITツールを活用する方法もあります。個人のPCで完結するExcelと異なり、担当者全員のアクション予定・実績をリアルタイムで共有・更新できます。
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アクションプランを機能させる4つのポイント
計画を立てた後、実行や改善につなげるための仕組みをあらかじめ設計しておくことが重要です。ここでは、アクションプランを運用するうえで押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
実際の行動を記録する
計画と実績の乖離を把握するには、実際の行動の記録がなければ、計画どおりに進んでいるかどうかの判断ができません。行動を記録する仕組みをアクションプランの設計段階から組み込んでおくことで、振り返りと修正のサイクルが回せる状態になります。
たとえば、週次ミーティングの冒頭で実績入力を確認し、その場で入力を完了するルールにすると、記録漏れを防ぎやすくなります。
リスクを事前に想定する
計画段階で想定されるリスクや障壁を洗い出します。たとえば、競合が介入しそうな案件があれば、優先的に訪問する、競合情報を事前に収集するといった対応をアクションプランに盛り込みます。あらかじめリスク対策まで計画に含めておくことで、想定外の事態が起きても対応の手が打てます。
また、「競合が入っている」「担当者が変更になる可能性がある」などの、想定リスクをアクションプランの備考欄に1行メモしておくだけで、引き継ぎ時や振り返り時に原因が追いやすくなります。
数値で考える
アクションプランは、件数や金額、日付などを用いて設定することで、進捗が測れる状態になります。「顧客フォローを強化する」といった抽象的な表現では、達成したかどうかを判断できません。定量化されていない計画は、実行段階で形骸化しやすい傾向があります。
たとえば、「フォローを強化する」ではなく「今週中にフォローコール3件・メール2件」と書き直すだけで、週末に達成できたかどうかが自分で判断できるようになります。
定期的に振り返りと修正をする
市場の変化や想定外の出来事によって計画がずれることは少なくありません。アクション数値の振り返りだけでなく、目標自体も見直せるよう変更が必要なケースも想定しておきます。週次や月次などのレビューサイクルをあらかじめ決めておくことで、修正のタイミングが明確になります。
たとえば、新たに振り返りの場を別途設けるより、既存の週次ミーティングや1on1の最後の5分を「計画修正の時間」として使う方が無理なく運用を継続しやすくなります。
SFA/CRMを使ったアクションプランの作成・運用例
Excelでの管理は個人ごとの運用になりやすく、チーム全体への共有や更新に手間がかかります。SFA/CRMを活用すると、目標設定や行動登録、達成率分析を一元管理しやすくなり、マネージャーとメンバーの両方にとって運用負荷が下がります。以下ではMazrica Salesを例に紹介します。
目標設定機能を使う
売上目標とアクション目標を担当者ごとや、期間ごとに設定できます。Mazrica Salesでは週次、月次、四半期、半期、年次の単位で目標値を細かく設定できます。また、売上目標は契約金額と計上金額の両方に対応しているため、受注タイミングと売上計上タイミングのずれがある場合にも対応できます。

行動予定と実績を入力・管理する
「予定アクション」で行動計画を事前に設計し、「完了アクション」で実績を記録します。完了した行動のみを完了アクションに登録するルールにすることで、計画どおりに進んでいるかを確認しやすくなり、必要に応じてアクションプランを見直すことができます。

達成度を分析する
Mazrica Salesでは、アクションプランの実行状況を振り返るためのレポート機能も利用できます。
- 達成率レポートの自動生成:行動目標に対する実績を自動計算・グラフ化します。
- 未完了アクションの抽出:期限を超過したタスクを即座に抽出し、遅延箇所を特定できます。
- アクション予測レポート:現在のアクション量で目標達成できるかどうか、売上の着地見込みを提示します。
まとめ
アクションプランは「作ること」が目的ではなく、行動を記録・改善し続けることで初めて成果につながります。数値目標が曖昧な計画、記録されない行動、振り返りのないサイクルは、どれも形骸化の原因になります。
担当者が複数いるチームでは、計画や実績を共有しやすい環境を整えることも重要です。SFA/CRMを活用することで予定、実績、分析を一元管理しやすくなり、チーム全体で運用の定着率が高くなります。まずは個人単位の短期的なアクションプランから始め、運用が定着したら、SFA/CRMを使ってチームで運用するステップに移行するのが良いでしょう。
よくある質問
Q1. アクションプランと行動計画は同じですか?
同じ意味で使われることがほとんどです。どちらも目標達成に向けた「いつ、誰が、何をするか」を示した計画を指します。ビジネスシーンでは英語由来の「アクションプラン」という表現が使われることが一般的です。
Q2. 個人の営業アクションプランはどのように作ればよいですか?
担当する顧客や案件をもとに、受注目標から逆算して商談数・架電数・提案件数などの行動目標を数値で設定します。週次、月次単位でスケジュールに落とし込み、毎週の実績と照らし合わせて修正するサイクルを作ることが定着のポイントです。
Q3. アクションプランの書き方にテンプレートはありますか?
決まった様式はなく、ガントチャート形式がよく使われます。ExcelやPowerPointのテンプレートが多数公開されているほか、SFA/CRMを使うと目標設定、行動登録、達成率の分析が自動で連動するため、テンプレートを別途管理する手間が省けます。
Q4. アクションプランが途中で機能しなくなるのはなぜですか?
主な原因は3つあります。①行動を数値で設定していないため進捗が測れない、②実績を記録する仕組みがなく計画と現実の乖離が見えない、③定期的な振り返りのサイクルが設計されていない、の3つです。立てた後の「記録→分析→修正」の仕組みがないと形骸化します。
Q5. 営業チーム全体でアクションプランを共有する方法は?
ExcelやPowerPointは個人PCでも共有できますが、チーム全体への共有や更新が難しい点が課題です。SFA/CRMを活用すると、担当者ごとの目標、行動予定、実績がリアルタイムで共有され、マネージャーも進捗を把握しやすくなります。
Q6. アクションプランとKPIはどう使い分けますか?
KPIは「何を達成すれば目標に近づくか」を測る中間指標です。一方で、アクションプランはそのKPIを達成するために「何をするか」を具体化した行動計画です。KPIだけ設定してアクションプランを描かないと、「何をすればよいかわからない」状態が続くため、アクションプランとあわせて設計することが重要です。





























