「営業報告書を書くのに毎日30分以上かかっている。」「報告書は集まるのに活用できていない。」こうした悩みを抱える営業現場は少なくありません。
営業報告書に最低限必要な項目は、次の3つです。
- 定量情報(KPI):架電件数・訪問件数・案件確度・金額など
- 定性情報(活動内容):訪問先・担当者・商談内容・顧客の課題・競合情報
- ネクストアクション(期限付き):誰が・いつまでに・何をするかを明記
この3つを押さえることで、担当者本人の振り返りだけでなく、マネージャーの案件判断にも使えます。
本記事では、営業報告書に記載すべき項目の書き方のポイントや例文、テンプレート、さらに報告書作成の負荷を軽減させる方法まで解説します。
この記事の内容
営業報告書とは
営業報告書とは、営業担当者が日々の活動内容を記録し、上司やチームに共有するための文書です。単なる活動記録ではなく、案件の課題を発見しノウハウを組織に蓄積するための重要なツールでもあります。
管理者にとっての目的
管理者が営業報告書を使う目的は、大きく3点あります。
- メンバーの行動を可視化し、数字だけでは見えない定性的な評価をする
- チーム全体の強みと弱みを把握し、戦略立案に活かす
- 個別案件に対して具体的なアドバイスを迅速に行う
受注金額や商談数といった結果指標だけでは、何が上手くいったのか・何が止まっているのかを判断できません。報告書に記録された活動の内容や顧客の反応を確認することで、マネジメントの精度が上がります。
営業担当者にとっての目的
担当者にとっての報告書は、上司への報告だけではなく、自分自身の営業活動を整理するための記録でもあります。
- 1日の振り返りができ、次回訪問時に過去のやり取りをすぐ確認できる
- ヒアリング内容や顧客の反応を記録することで、組織のナレッジとして蓄積される
- 担当変更や引き継ぎの際に、経緯と現状を漏れなく伝えられる
報告書を「提出物」として義務的に書くだけでは、これらの価値は引き出せません。「第三者が読んで次の行動を判断できるか」を基準に書くことが、担当者・管理者の双方にとって役立つ報告書につながります。
営業報告書に記載する項目
報告書の質は、記載する項目によって大きく左右されます。以下の3カテゴリを軸に項目を設計すると、管理者にとっても担当者にとっても使いやすい報告書になります。
定量情報(KPI)
数値で把握できる活動実績を記録します。
- 営業目標(当日・週次の達成率)
- 本日の活動数(架電件数・訪問件数・メール送付件数)
- 進捗中の案件の確度と金額
- 新規リード数・商談化件数(該当する場合)
定量情報を記録することで、管理者はメンバーごとの行動量を客観的に比較でき、目標との乖離を早期に把握できます。
定性情報(活動内容)
数値では伝わらない、商談内容や顧客の反応を記録します。
- 訪問先の企業名・担当者名・役職
- 訪問の目的(何を達成するために訪問したか)
- 商談内容(顧客の課題・現状・ヒアリング内容)
- 顧客の反応(前向き・懸念・保留の別)
- 競合情報(他社の動向・比較されている製品・サービス)
特に競合情報と顧客の懸念点は、チーム全体の提案力を高める情報になります。自分だけが知っている情報として留めず、報告書に記録することで組織のナレッジとして活用できます。
ネクストアクションと相談事項
報告書の中で最も重要な項目です。
例えば、
「○月○日までに○○(顧客名)へ提案資料を送付する」
のように、行動・期限・担当者を明記します。
「○○について提案する予定です」といった曖昧な書き方では、いつ誰がやるのかがわかりません。期限と担当者まで書くことで、報告書は行動管理にも活用できます。
また、上司への相談事項(稟議の要否・価格条件・競合対策など、判断が必要な事柄)もこの項目に含めます。相談内容を明示することで、管理者は確認するだけで必要な判断を行いやすくなります。
営業報告書の例文と書き方のコツ
営業報告書は、実際の例文を見ながらポイントを押さえると理解しやすくなります。
まずは、良い報告書と悪い報告書の違いを確認し、そのうえで具体的な記載例を見ていきましょう。
良い報告書と悪い報告書の比較
| 観点 | 良い営業報告書 | 悪い営業報告書 |
|---|---|---|
| 内容 | 事実と考察が整理されている | 感想や言い訳が多い |
| 客観性 | 数字と根拠が明確になっている | 感覚的・抽象的な表現にとどまっている |
| 行動計画 | 次のアクションが具体的(期限付き)に示されている | 「頑張ります」など曖昧な言葉で終わっている |
| 共有効果 | 他のメンバーが参考にできる情報が含まれている | 個人メモのようで共有できる情報が少ない |
よくある失敗パターンと改善のヒント
| 失敗パターン | 問題点 | 改善のヒント |
|---|---|---|
| 「商談してきました。反応は良かったです。」 | 抽象的で次の行動に落とし込めない | 反応の内容・懸念点・次アクションを数値や固有名詞で明記する |
| 同じ内容を毎回コピーしている | 案件の変化や進捗がわからず、意味のない報告になる | 顧客ごとの進捗や気づきを毎回追記する |
| 感想中心で事実がない | 管理者が案件の状況を判断できない | 「提案資料送付済」「見積回答待ち(期限:○月○日)」など具体的に書く |
書き方の3つのコツ
報告書を書くときに意識したいポイントは次の3点です。
- 結論から書く:最初に「何をしたか・結果どうなったか」を示し、詳細をその後に記載します。結論を先に伝えることで、管理者が短時間で状況を把握できます。
- 1文を短くする:長い一文に情報を詰め込むと読みづらくなります。事実・考察・次アクションは分けて書きます。
- 関連資料を明記する:送付したメールの件名や提案書のファイル名を書き添えることで、担当者以外でも過去の経緯を確認しやすくなります。
商談報告書(訪問報告書)の書き方
商談報告書は日報・週報とは異なり、1件の商談に焦点を当てて記録する報告書です。訪問先・担当者・目的・商談内容・課題・次アクションなどを、商談ごとに記録します。
記載すべき項目は次のとおりです。
- 訪問日時・訪問先の企業名・担当者名と役職
- 訪問目的(何のために訪問したか)
- 先方の課題・現状のヒアリング内容
- 自社の提案内容と顧客の反応
- 懸念点・競合情報
- 次回アクション(期限・担当者・手段)
日報は「その日の営業活動全体のまとめ」であるのに対し、商談報告書は「1件の商談を深掘りした記録」という使い分けが一般的です。複数の商談を掛け持ちしているフィールドセールスは、商談報告書を案件ごとに蓄積しておくと、引き継ぎや次回提案に活用しやすくなります。
営業報告書を書く意義とデメリット
営業報告書には明確なメリットがある一方、現場では「時間がかかる」「活用されない」という声も多くあります。メリットとデメリットの両面を理解したうえで運用を設計することが重要です。
営業報告書の5つのメリット
- 数値だけでは分からない活動内容を評価できる
- 自社の強みと弱みを案件単位で把握できる
- 1日の振り返りと過去情報の確認ができる
- 営業ノウハウをチームで共有し組織の資産にできる
- 担当変更時の引き継ぎを進めやすくなる
3つのデメリットと改善の方向性
メリットがある一方で、運用を誤ると報告書が形骸化する可能性があります。よくある3つのデメリットと改善策を整理します。
具体的な営業活動が管理者に伝わらない
フォーマットが統一されていないと、担当者ごとに記載の粒度がばらつき、管理者が全員分の報告書を比較・評価できなくなります。記載ルールを明確化し、フォーマットを統一することで改善できます。
過去のアクションと紐づかない
日報が積み重なっても、過去の商談履歴と結びついていなければ十分に活用できません。案件IDや顧客名を基準に、過去履歴にリンクする運用を決めるか、SFAを活用して案件情報と活動履歴を紐づける方法があります。(SFAの活用方法については後述します)
データ分析に活かされない
記載する数値項目が統一されていなければ、報告内容を集計・分析できません。架電数・訪問数・案件確度・金額を必須項目として設計し、集計しやすい形式で記録することが必要です。
日報作成の「隠れた人件費」を試算する
日報・報告書作成を「当然の業務」と見なしている組織は多いですが、作成にかかる時間にも人件費は発生しています。実際にどの程度の費用がかかっているのか、次の条件で試算してみましょう。
営業1名あたりの日報コスト計算例
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 日報作成にかかる時間 | 1日30分 |
| 月間営業日数 | 20日 |
| 月間合計作成時間 | 10時間 |
| 想定時給 | 3,000円 |
| 1ヶ月あたりの人件費 | 30,000円 |
営業担当者が10名いるチームであれば月30万円、年間で360万円を「報告作業」に費やしている計算になります。採用費や広告費と同じように、経営上の判断対象として捉える必要があります。
「報告のための時間」を「売るための時間」へ
SFAのカレンダー連携や、メール連携を活用し、日報作成時間を1日5分(月間約1.6時間)に短縮できた場合、1名あたり月間約25,000円分の人件費を商談活動に充てられます。短縮できる月8時間強を商談準備やフォローに充てれば、月25,000円分の人件費を「報告を書く仕事」から「売る仕事」へ振り替えられます。
「報告を書く時間」を減らすことは、単なる業務効率化ではありません。営業生産性を「商談数×受注率×単価÷工数」という考え方で分解した場合の「工数」を減らす取り組みでもあります。
Excel管理の限界とSFA活用
営業報告書に関する課題を解決するには、フォーマットだけでなく、情報を入力・管理する方法も見直す必要があります。ここでは、Excel・スプレッドシートとSFAの違いを整理します。
ExcelとSFAの比較
| 比較項目 | Excel・スプレッドシート | SFA・CRM |
|---|---|---|
| 報告書の作成負荷 | 手入力が中心になりやすい | メールやカレンダーとの連携により軽減できる |
| 過去案件との紐付け | 手動で管理する必要がある | 顧客・案件情報に自動で紐づく |
| マネジメント活用 | 集計に手間がかかる | ダッシュボードやレポートで確認できる |
| データ分析 | データの再整形・加工が必要 | 入力したデータをそのまま分析に使える |
Excelは柔軟性が高い一方で、集計やデータの整理を担当者が行う必要があります。また、過去の商談履歴を案件単位で紐づけておくことが構造上難しく、引き継ぎや傾向分析に使いにくくなります。
SFAはこの課題を構造的に解決します。以下の記事もあわせて確認してください。
関連記事:SFAの定義や選び方の詳細
SFAが報告書作成を不要にする仕組み
Mazrica SalesはGoogleカレンダー・Outlook・メールと連携し、「いつ・誰と・どんなやり取りをしたか」が自動で案件履歴に紐づきます。担当者は商談後にスマートフォンから要点を一言メモするだけで、質の高い活動記録が完了します。
アクションテンプレート機能(Growth以上)を使えば、よく使う入力パターンをあらかじめ設定でき、毎回ゼロから書く必要がなくなります。種別・目的・案件タイプごとにテンプレートを使い分けられるため、記録の粒度も安定します。
「事後報告」から「リアルタイム指導」へ
マネージャーは案件ボードやダッシュボードで全メンバーの状況をリアルタイムで把握できます。
日報が提出されるまで待つのではなく、案件情報をもとに状況を確認できるため、対応が必要な案件について担当者へ早めに確認や助言を行いやすくなります。
AIによる活動記録の活用
Mazrica SalesのAI機能は、蓄積された活動履歴を解析し、前回商談からの経過時間が長い案件へのフォロー提案や、案件ごとの受注確度の予測をアラートとして自動で発信します。報告書が「過去の記録」にとどまらず、「次の成約を創る戦略データ」として機能します。

SFA活用で営業報告書を撤廃した事例
SFAを導入することで、日報そのものを廃止した企業の事例を紹介します。
大道エンジニアリング株式会社の事例
大道エンジニアリング株式会社はMazrica Salesを導入し、案件ボードを日々の進捗管理の中心に据えることで、従来の日報を廃止しました。
案件ボードでは、各案件がカード形式でフェーズごとに並び、担当者がカードを移動するだけで進捗が更新されます。直近のアクション状況に応じてカードが色分けされる(1週間以内は青・1か月以内は黄・1か月以上アクションなしは赤)ため、管理者はボードを見るだけでチーム全体の状況を把握できます。
この仕組みにより、「日報を書いて提出する」という行為そのものが不要になりました。担当者は案件の更新に集中でき、管理者は報告書を待たずに指導・判断ができます。

今日から使える営業報告書テンプレート
営業報告書のフォーマットは必要な項目に絞って統一することで、記入の負担を抑えながら報告内容のばらつきを防ぎやすくなります。以下のテンプレートをそのまま使うか、自社の営業プロセスに合わせて調整してください。
営業日報テンプレート(Excel無料ダウンロード)
案件がどのチャネルやフェーズにあり、どの程度の確度・金額なのかを管理できるExcelテンプレートを無料で提供しています。アクションを管理するシートも含まれているため、進捗を追いやすい設計になっています。

Mazrica Salesでのテンプレート活用
Mazrica Salesのアクションテンプレート機能(Growth以上)を使えば、よく使う入力パターンをあらかじめ設定でき、毎回ゼロから書く必要がなくなります。種別・目的・案件タイプごとにテンプレートを使い分けられるため、チーム全体の記録品質を一定水準に保てます。
よくある質問
営業報告書と営業日報の違いは何ですか?
日報は1日単位の活動記録です。一方、営業報告書は、案件・訪問単位または週次・月次などで作成する報告書類の総称として使われます。
営業日報も営業報告書の一種であり、用途に応じて使い分けるのが一般的です。日報はその日の行動を振り返るために、商談報告書は個別案件の内容を詳しく記録するために使います。
商談報告書には何を書けばよいですか?
最低限必要なのは、訪問日時・訪問先の企業名・担当者名と役職・訪問目的・ヒアリング内容(顧客の課題・現状)・提案内容と顧客の反応・競合情報・次回アクション(期限・担当者)です。「反応が良かった」といった感想だけでなく、顧客の発言や懸念点を事実として記録することが、次回の提案精度を高めます。
営業報告書を書く時間を減らすにはどうすればよいですか?
まずフォーマットをテンプレート化し、毎回ゼロから書かなくて済む状態をつくります。次に、SFAのカレンダー・メール連携を活用し、入力を自動化することです。SFAを活用すれば、商談後のメモ入力のみで報告が完了し、集計・共有も自動化されます。
営業報告書の提出をやめても大丈夫ですか?
日報の「廃止」ではなく「SFAへの移行」として捉えるのが現実的です。案件ボードへの入力が日報と同等の情報量を担うため、別途報告書を書く必要がなくなります。大道エンジニアリング株式会社はこの方法で日報を廃止しています。ただし、移行前にチーム全員がSFAへの入力を習慣化できるかどうかを確認することが前提です。
営業報告書のExcelテンプレートはどこで手に入りますか?
本記事内のバナーから無料でダウンロードできます。案件管理・アクション管理の両シートが含まれており、そのまま使えるほか、自社の営業プロセスに合わせた追記・変更も可能です。
営業報告書をデータ分析に活かすにはどうすればよいですか?
まず報告書に定量項目(架電数・訪問数・案件確度・金額)を必須化し、集計できる形式で記録する必要があります。SFAでは、入力した情報がそのまま売上予測・アクション分析・ファネル分析レポートに反映されます。「書いた報告書が分析に使えない」という状況は、入力先をSFAに変えることで構造的に解消できます。
まとめ
営業報告書の本来の目的は「過去の記録」ではありません。案件の状況を共有し、次に取るべき行動や必要な支援を明確にすることが重要です。
書き方・ツール・運用の3つを整えることで、報告書はチームの意思決定を加速する武器になります。
この記事のポイントと判断基準
- 必須項目は「定量(KPI)」「定性(活動内容)」「ネクストアクション(期限付き)」の3分類
- 良い報告書の基準は「第三者が読んで次の行動を判断できるか」
- ExcelとSFAの最大の差は「過去履歴との自動紐づけ」と「リアルタイムでの可視化」
- 日報作成に月10時間を費やしている場合、時給3,000円で計算すると、1名あたり月3万円、年間36万円の人件費が発生する
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