案件の対応漏れが起きている、担当者ごとに進捗管理の方法がバラバラで状況が把握しにくい、担当者が変わると情報が引き継げない。こうした悩みを抱えている営業組織は少なくありません。案件管理ツールはこれらの課題を解消する手段の一つですが、選択肢が多く「どれを選べばよいか」で迷いやすいのも事実です。
この記事では、案件管理ツールの選び方・比較する際の観点、代表的な7ツールの特徴を整理します。ツール選定前に確認しておくべき「現場に定着しないリスク」にも触れているので、導入を検討する際の参照にしてください。
この記事の内容
案件管理ツールとは

案件管理とは、営業活動における商談の進捗・顧客情報・営業履歴を一元管理し、目標達成に向けた活動を効率化するプロセスです。また、それを支えるシステムも案件管理ツールと呼ばれます。主に管理するデータは、商談フェーズ・受注確度・担当者・契約金額・営業履歴・顧客情報です。
SFA(Sales Force Automation/営業支援システム)とCRMの関係でいうと、案件管理は主にSFAが担う中核機能に位置づけられます。CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)はより広い概念で、案件管理に加えて顧客の属性情報・購買傾向・コミュニケーション履歴なども含めて管理します。現在は両者の機能が重なる製品も多く、SFA/CRMとして一体で提供されるケースが一般的です。
エクセル管理から案件管理ツールへ切り替える理由
案件数が増えるにつれて、エクセルでの管理には限界が生じます。
入力や更新の手間、共有の遅れ、抜け漏れリスク、分析の難しさなどが主な課題です。担当者が個別にファイルを管理していると、最新状況の把握にメールや口頭での確認が必要になり、マネージャーが案件の全体像をリアルタイムに把握できません。複数の営業プロセスを並行して管理する場合は、エクセルでの運用がさらに複雑になります。
次のいずれかに当てはまる場合は、目安としてツール導入を本格的に検討するタイミングです。
- 営業担当者が5人以上いる
- 月間商談数が20件を超えている
- 新規開拓・既存顧客への追加提案など、複数の営業プロセスが並行して動いている
- 担当者の引き継ぎ時に情報の抜け漏れが起きている
- マネージャーが毎週案件の状況を個別に確認しなければならない状態が続いている
エクセルによる案件管理の課題については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:Excelでは限界!営業管理・データ管理を効率化する4つの方法
案件管理ツール導入のメリット
案件管理ツールには、営業活動を効率化し、案件の抜け漏れや属人化を防ぐさまざまなメリットがあります。まずは代表的なメリットを見ていきましょう。
進捗状況のリアルタイム可視化

案件管理ツールの多くは、商談をフェーズごとにカード形式・カンバン表示で一覧できる機能を備えています。マネージャーは画面を開けばチーム全体の案件状況を把握でき、個別に担当者へ確認を取る手間が減ります。
放置案件の検知も可能です。Mazrica Salesでは直近のアクション状況に応じてカードの色が変わります。1週間以内にアクションがある案件は青、1か月以内は黄、1か月以上アクションがない案件は赤で表示されるため、対応が止まっている案件を一目で把握できます。
提案内容・営業履歴の可視化
顧客とのやりとり・提案内容・使用した資料などをツールに記録することで、担当者が変わっても商談の経緯を引き継げます。「前任者がどんな提案をしたか」「顧客がどの段階で懸念を示したか」という情報が残っていれば、引き継ぎ後も顧客との関係を途切れさせずに営業を続けられます。
情報の一元管理による属人化防止
取引先・コンタクト(担当者)・案件・アクションをひとつの画面で確認できる環境を整えると、特定の担当者に情報が集中するリスクが下がります。「あの案件の状況はAさんしか知らない」という状態では、Aさんが休んだだけで組織の営業活動に支障が出ます。ツール上で情報を共有し、チームで確認できる状態をつくることが、属人化の防止に繋がります。
データ分析による営業改善

案件データが蓄積されると、フェーズごとの移行率・担当者別の受注率・商材別の受注傾向を定量的に把握できます。マネージャーは数値で課題のある担当者や工程を特定し、改善策を検討できます。感覚ではなくデータをもとに営業活動を管理できるようになることで、組織全体の受注率改善につながります。
ツールを導入しても成果が出ない理由

コストをかけてツールを導入しても、期待した成果を得られていない企業は少なくありません。なぜ失敗が起きるのかを理解しておくことが、選定基準の土台になります。
マツリカのSFA/CRM利用実態調査によると、「情報の入力・更新が複雑」と感じている企業が43.6%、「営業メンバーが情報を入力しない」という課題を抱える企業が40.6%に上ります。入力されない最大の理由として、「入力作業に時間がかかるから」が過半数を占めています。

失敗には、共通する流れがあります。高機能なツールを導入したものの現場で使われず、データが蓄積されないため分析ができない、成果に繋がらない、という連鎖が起きます。機能の豊富さに引かれてツールを選んだ結果、現場には「入力が面倒なだけのシステム」となり、定着しないケースは珍しくありません。
この実態を踏まえると、ツール選定で優先すべきは「機能の多さ」ではなく「現場が入力したくなるUI・UX」と「導入後の定着を支えるサポート体制」です。どれだけ優れた分析機能があっても、データが入力されなければ機能しません。
案件管理ツールの選び方
見やすさ・使いやすさ(UIの直感性)
ITリテラシーに差がある組織でも、全員が迷わず使えるかどうかを確認します。入力のステップが少ない、モバイルからでも主要操作ができる、画面を開いた瞬間に何をすべきかわかる設計になっているかが判断基準です。トライアル期間中に実際の担当者に操作してもらい、「使いやすい」と感じるかを確認するのが確実な方法です。
サポート体制の充実度
導入時の設定支援だけでなく、運用が定着するまで伴走してくれるかを確認します。チャットやメール対応のみか、ミーティングや勉強会にも対応しているかによって、定着率は大きく変わります。トライアル期間中にサポートへ問い合わせ、回答の速さや回答内容の質を自分の目で確かめておくと安心です。
モバイル対応
商談直後にスマートフォンから入力できるかどうかは、継続的なデータ蓄積に影響します。デスクに戻ってからまとめて入力する運用では、記憶が薄れた状態での入力になりやすく、情報の質が下がります。iOSとAndroidの両方に対応しているか、モバイル版でも案件更新・アクション登録などの主要機能が使えるかを確認します。
既存ツールとの連携
名刺管理(Sansan)、グループウェア(Google Workspace・Microsoft 365)、MA、会計ソフト(freee・Money Forward)との連携可否を確認します。連携によって情報の二重入力をなくせるかどうかが、現場の入力負荷を下げる上で重要なポイントです。社内で使っているツールと連携できない場合、「ツールを増やしたのに業務が増えた」という結果になりかねません。
案件管理ツール・システムおすすめ7選
上記の選定基準をもとに、営業の案件管理に使えるSFA/CRMを7つ紹介します。
※他社製品の料金・機能は各社公開情報をもとに記載しています。最新情報は各社にお問い合わせください。
Mazrica Sales|誰でも使えて成果が出せるSFA/CRM

Mazrica Salesは、株式会社マツリカが提供するSFA/CRMです。「誰でも使えて成果が出せる」をコンセプトに、営業現場が迷わず使えるUIと、蓄積データをもとにAIが次のアクションを検討するための情報を提示する仕組みが特徴です。
IT専任担当がおらず現場主導でSFAを定着させたい中堅〜大企業、案件の属人化を解消して営業プロセスを標準化したい組織や、AIで次のアクションの示唆を得ながら受注率を高めたい組織に向いています。
費用(参考)
- 初期費用・開発費用:無料
- Starterプラン:6,500円(税抜)/ID〜(最低10ID〜)
- Growthプラン:12,500円(税抜)/ID〜(AI・分析・連携機能を本格活用したい場合はGrowth推奨)
Sales Cloud(Salesforce)

世界的に広く利用されているSFA/CRMです。高いカスタマイズ性が強みで、大企業やグローバル展開をしている企業での導入実績が多くあります。
ただし、複雑なカスタマイズには開発スキルが必要で、初期設計に時間とコストがかかります。運用は社内の専任担当者を置くか、パートナー企業に依頼するケースが一般的です。
費用(参考)
1ユーザー21,000円(税抜)/月〜(Enterpriseプラン・年間契約)
eセールスマネージャー

国産SFAとして多くの企業に導入されています。営業プロセスの見直しを含むコンサルティング型のサポートが特徴で、SFA導入と同時に営業の仕組みを整えたい組織に向いています。運用定着まで担当者が伴走するため、費用は高くなる傾向があります。
費用(参考)
1ユーザー3,500円(税抜)/月〜(ベーシック、5名から)
[ eセールスマネージャーの評判・口コミ・料金を解説 ]
Zoho CRM

低コストで多くの機能を利用できるCRMです。メール一括送信や外部サービス連携を含み、コストを抑えてSFA/CRMを導入したい企業の選択肢になります。機能が多いためUIが複雑になりやすく、ITリテラシーが高くない環境では定着に時間がかかることがあります。
費用(参考)
1ユーザー1,760円/月(スタンダードコース、税抜、年払いの場合)
kintone

業務アプリを構築できるプラットフォームです。案件管理・日報・ワークフローを同一環境で管理でき、営業以外の業務も一元化したい組織に向いています。初期設定や運用設計を担える担当者が社内にいないと、導入・活用が難しくなります。
費用(参考)
初期費用0円、1ユーザー1,800円(税抜)/月〜(スタンダードコース)
Microsoft Dynamics 365 Sales

Microsoft社提供のSFAです。Microsoft 365(Office・Teams・Azure)との連携性が高く、グローバルに展開する大企業での導入実績に強みがあります。利用人数が増えるとコストが膨らみやすい点は検討材料です。
費用(参考)
Sales Professional:9,745円(税抜)/ユーザー/月相当
Sales Enterprise:15,742円(税抜)/ユーザー/月相当
Sales Premium:22,488円(税抜)/ユーザー/月相当
※いずれも年払いの場合
HubSpot Sales Hub

マーケティング・営業・カスタマーサクセス向け機能を統合したプラットフォームです。無料プランで基本機能を試せる点が特徴で、世界中の多くの企業で利用されています。Marketing HubやService Hubと一体で運用することでインバウンド営業に強みが出ます。使用する機能やユーザーが増えるほどコストが上がる点には注意が必要です。
費用(参考)
無料プランあり。Starterは2,400円(税抜)/月〜。Professional以上の料金は契約内容によって異なるため、公式料金ページをご確認ください。
案件管理ツール比較表
主要7ツールを選び方の観点で比較します。
| ツール名 | 見やすさ・使いやすさ | サポート体制 | モバイル対応 | ツール連携 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Mazrica Sales | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | 日本の営業スタイルに最適化。直感的なUI。AI案件分析 |
| Sales Cloud(Salesforce) | △ | △ | ◎ | ○ | 高機能・高拡張性。大企業向け。操作は複雑 |
| eセールスマネージャー | ○ | ◎ | ◎ | ○ | 国産SFA。営業プロセス改善を支援するサポートが特徴 |
| Zoho CRM | △ | △ | ◎ | ◎ | 低コストで多機能。定着にリテラシーが必要 |
| kintone | ○ | ◎ | ◎ | △ | 業務アプリ全般に対応。案件管理以外も活用可 |
| Microsoft Dynamics 365 Sales | △ | ○ | ◎ | ◎ | Microsoft製品との連携に強み。大企業向け |
| HubSpot Sales Hub | ○ | ○ | ◎ | ◎ | 無料から試せ、マーケティング機能とも連携可能 |
※本表は各社公開情報をもとに当社が独自の基準で作成した参考評価であり、各製品の優劣を保証するものではありません。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
組織タイプ別の判断基準
IT専任担当がおらず現場主導で定着させたい場合
UIのシンプルさとサポート体制を最優先にします。モバイルからの入力や外部ツールとの連携、導入後の定着支援に対応しているMazrica Salesが、このニーズに対応する選択肢になります。
大規模組織で高いカスタマイズ性が必要な場合
Sales CloudやMicrosoft Dynamics 365が選択肢になります。ただし運用担当者の確保、またはパートナー企業への依頼がセットで必要になる場合もあるため、運用体制を含めて検討してください。
コストを抑えて最低限の案件管理から始めたい場合
HubSpot(無料プラン)・Zoho CRM・kintoneなどが候補です。プランによって利用できる機能が異なることや、自社で設定・運用するための知識が必要になる場合があることを理解したうえで選びましょう。
営業プロセス自体を見直したい場合
eセールスマネージャーのようにコンサルティング型サポートを提供しているベンダーが向いています。支援内容によって費用が異なるため、期待する効果とコストをあらかじめ確認してください。
よくある質問(FAQ)
案件管理と顧客管理(CRM)は何が違いますか?
案件管理は、主に「商談の進捗・確度・営業履歴」を管理するもので、SFAが担う中核機能です。CRM(顧客関係管理)はより広い概念で、案件管理に加えて顧客の属性情報・コミュニケーション履歴・購買傾向なども含めて管理します。SFAとCRMは機能が重なる部分が多く、Mazrica Salesのように両方の機能を一体で提供しているツールも多くあります。
案件管理ツールの費用はどのくらいですか?
ツールや契約内容によって大きく異なります。無料で使えるプランがあるもの(HubSpotなど)から、1ユーザーあたり月額1,800円程度の低価格帯(kintone・Zoho CRM)、1ユーザーあたり月額6,000〜25,000円程度の中〜高価格帯(Mazrica Sales・Salesforce・eセールスマネージャー・Dynamics 365)まで幅があります。また、最低利用ID数、初期費用、導入支援費用、オプション料金なども製品によって異なります。月額料金だけでなく、導入後の運用費用も含めた総コストで比較してください。
エクセルで案件管理を続けてはいけませんか?
担当者が少なく、案件数・顧客数が限られている段階であれば、エクセルでも管理できます。ただし案件数が増えるにつれて、フェーズ更新の手間・情報共有の遅れ・分析の難しさが表面化します。「情報を探すために時間が取られている」「担当者が不在だと案件の状況がわからない」という状態が続くようになったら切り替えのサインです。
導入後にツールが現場に定着しないケースはどう防ぎますか?
定着を妨げる大きな要因の一つは、入力負荷の高さです。モバイル対応・連携による自動入力・UI/UXのシンプルさで入力の手間を下げることが先決です。加えて、導入時に「このツールを使うことで業務がどのように変わるのか」を現場に示し、マネージャーが率先してツールを活用することが定着の鍵になります。ベンダーのサポート体制(勉強会・定期ミーティングなど)もトライアル期間中に確認しておくと安心です。
案件管理ツールとプロジェクト管理ツール(Asana・Notionなど)は何が違いますか?
プロジェクト管理ツールはタスク・スケジュール・チーム内の作業進捗を管理するものです。一方、案件管理ツール(SFA)は「商談がどのフェーズにあるか」「受注確度は何%か」「次にどのアクションを取るべきか」といった営業活動の管理に特化しています。受注・売上目標との連動、顧客情報との紐づけ、AI分析といった機能はSFAに備わっているものが主な特徴です。
小規模チームでも案件管理ツールを導入する意味はありますか?
小規模なチームでも、案件や顧客の情報を共有する必要がある場合は、導入を検討する価値があります。早い段階からデータを蓄積しておくことで、チームが拡大した際にも過去の情報を活用できます。
また「自分しか状況を知らない」という属人化は、少人数のチームほど起きやすい問題です。担当者の交代や急な不在に備えて早い段階から情報を一元化しておくことで、対応を引き継ぎやすくなります。
まとめ
案件管理ツールを選ぶ際に最初に確認すべきは、現場が入力し続けられるかどうかです。UIの分かりやすさ、モバイル対応、既存ツールとの連携などによって入力の手間を下げられるかが、ツールの定着を左右します。費用対効果や機能の充実度はその次に評価する項目になります。
「機能の多さ」でツールを選ぶと、現場に定着しないリスクが上がる可能性があります。導入後の成果を高めるには、必要なデータを継続的かつ正確に蓄積することが重要です。「データが入力される状態をつくれるか」という視点を選定の中心に置いてください。
組織の状況別に見ると、IT専任担当がおらず現場主導で定着させたいならMazrica Salesが選択肢になります。大企業でカスタマイズ性を優先するならSalesforce・Dynamics 365、コスト優先ならHubSpot・Zoho CRM・kintone、営業プロセスの見直しも合わせて進めたいならeセールスマネージャーが候補になります。
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