TheModelにみる営業組織の基本分業体制|マーケ/IS/FS/CSの4機能で構造と役割分担を整理する
一人の営業担当者がリード獲得から初回アプローチ、提案・クロージング、契約後のフォローアップまでをすべて担う体制では、どのプロセスがボトルネックになっているのかを特定しにくい状況が続きます。受注数が伸び悩んでいるとき、原因が「リードの量が足りない」のか「商談化率が低い」のか「クロージングに課題がある」のかが混在したまま、「もっと動け」という定性の指示だけが重なりがちです。
営業の分業体制は、このような属人的な一気通貫型の構造を、プロセスごとに機能を分割して専門性とKPIで管理できる組織へ転換するための設計です。なかでもSalesforceが自社の営業プロセスを体系化して公開した「The Model(ザ・モデル)」は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4機能による分業体制として、BtoB営業組織の代表モデルとして広く参照されています。
本記事では、The Modelが示す4機能それぞれの担当範囲・役割・代表的なKPI、部門間の連携設計、そして分業体制が機能しないパターンと対策を整理します。「自社に分業体制が向くかどうか」の判断軸も後半で提示します。
営業組織の体制パターンと設計の全体像については別記事で整理しています。本記事は、そこで扱う体制パターンのうち「The Model型4分業」というサブトピックに絞って深掘りします。
営業分業体制の基本:一気通貫型からの転換
一気通貫型の営業組織では、優秀な個人に依存する構造が避けられず、その担当者が変わると商談品質がそのまま落ちます。担当者個人のやり方がそのまま営業プロセスになるため、再現性のある育成もできません。分業体制は「特定の人だけが成果を出せる組織」から「プロセスが成果を生む組織」への転換を目的とします。転換のきっかけとなった背景・定義・代表モデルを以下で整理します。
一気通貫型の構造上の課題
一気通貫型の問題は、単に担当者の負荷が高いという話にとどまりません。営業全体を一人で担う構造では、KPIの詰まりがどこにあるかを切り分けられないことが根本的な課題です。
商談数が少ない原因が「リードの量が足りない」のか「アプローチした際の商談化率が低い」のかが混在したまま管理されると、改善施策の優先度がつけられません。FSが追客・ナーチャリングも兼ねている場合、純粋な提案・クロージングに集中できる時間が削られ続けます。また個人ごとのやり方がそのままプロセスになるため、新人の育成では「全部を習得するまで一人立ちできない」状態が続き、育成コストが高くなります。
分業体制の定義と目的
分業体制とは、営業プロセスを機能ごとに分割し、各役割が専門性を持って担当する組織設計です。「マルチタスクからの解放」と「KPIの可視化・ボトルネックの特定」の2点が主な目的です。
重要なのは、「分業=役割の割り当て」ではなく「分業=プロセスの設計」であるという整理です。誰が担当するかよりも、各機能が「何を受け取り、何を渡すか(インプットとアウトプット)」を明確にすることが、分業体制の実効性を左右します。
The Modelが分業体制の代表モデルになった理由
The Modelは、Salesforceが自社の営業プロセスを4機能(マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス)に整理して体系化し、広く公開したことで、SaaS業界を中心に急速に普及しました。
普及した理由は、4機能に分けることでリード獲得から継続・拡大までの各フェーズのKPIが定量化できるからです。MQL(マーケティング適格リード)・SQL(営業適格リード)・商談化率・受注率・継続率という指標を機能ごとに持つことで、どのフェーズに問題があるかをデータで特定できます。もともとSaaSやサブスクリプション型ビジネスとの親和性が高いモデルですが、BtoB受注型ビジネスにも応用されています。
4機能の構造と役割分担
The Modelの4機能は、担当範囲を分けるだけでなく、それぞれが「次の工程に渡すアウトプット」の質を担う設計になっています。各機能の役割・担当範囲・代表的なKPIを整理することで、部門間の連携設計の前提が揃います。
マーケティング:需要創出とリード獲得
マーケティングの担当範囲は、潜在顧客への認知形成から、MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング部門が一定の検討度合いに達したと判断したリード)の創出までです。
主な活動はコンテンツマーケティング・広告・SEO・ウェビナー・展示会などを通じたインバウンドリードの獲得です。アウトプットは、一定の検討度合いに達したリードをインサイドセールスに渡すことです。
代表的なKPIは次のとおりです。
- MQL数
- リード獲得単価(CPL)
- CVR(LPから資料ダウンロードなどへの転換率)
- チャネル別リード数
注意点として、「MQLの定義」をインサイドセールスと事前に合意しておかないと、渡すリードの質が合わずに後工程でロスが生まれます。「何件のフォームを送信したか」「どのページをどれだけ閲覧したか」など、MQLと判断するための行動・属性の基準を明文化し、IS側と共有することが最初のステップです。
インサイドセールス(IS):商談創出と受注確度の管理
インサイドセールス(IS)の担当範囲は、マーケから受け取ったMQLに対してアプローチし、SQL(Sales Qualified Lead:営業部門が商談を進める価値があると判断したリード)または商談(アポイント)に転換して、フィールドセールスに渡すまでです。
主な活動は電話・メール・オンラインデモによるリードナーチャリング(見込み顧客の育成・フォローアップ)、ヒアリング、商談化です。
ISには役割によって2種類があります。
- SDR(Sales Development Representative) インバウンドリード(資料請求・問い合わせなど自社に関心を示した見込み客)への対応が主。
- BDR(Business Development Representative) ターゲット企業への能動的なアウトバウンドアプローチが主。
アウトプットは、一定の課題感・予算感・決裁プロセスが確認できた状態でFSに渡すことです(SQL化)。
代表的なKPIは次のとおりです。
- SQL数
- 商談化率
- アポ取得率
- ナーチャリング後の再商談化率
注意点として、「商談に渡す基準(SQLの定義)」がFSと合意できていないと、質の低い商談がFSに集まり、FSの受注率が落ちます。ISが量目標を達成していてもFSの受注率が下がり続けている場合、SQLの定義と運用の見直しが必要なサインです。
フィールドセールス(FS):クロージングと案件進行
フィールドセールス(FS)の担当範囲は、ISから渡された商談を受け、提案・クロージング・受注までです。
主な活動は対面またはオンラインでの提案・デモ・見積作成・稟議サポート・クロージングです。アウトプットは受注・契約完了と、カスタマーサクセスへの引き継ぎに必要な情報(導入目的・課題・決裁背景・合意した成功指標)の記録です。
代表的なKPIは次のとおりです。
- 受注率
- 受注金額
- 商談リードタイム(案件発生日からの経過日数)
- パイプライン金額
注意点として、「なぜ受注できたか・できなかったか」の情報をCRM/SFAに残さないと、ISやマーケへのフィードバックがなくなり、全体のパイプライン品質が落ちます。受注の理由・失注の理由は、上流工程が施策精度を上げるために必要な一次情報です。
カスタマーサクセス(CS):契約後の継続・拡大
カスタマーサクセス(CS)の担当範囲は、受注後の導入支援・定着・活用促進から、更新・アップセル・クロスセル・解約防止までです。
主な活動はオンボーディング(導入初期の立ち上げ支援)・定例ミーティング・利用状況のモニタリング・ヘルススコア(顧客の健全度を示す指標)の管理です。アウトプットは継続率(リテンション率)・NPS(顧客推奨度)・アップセル金額であり、LTV(顧客生涯価値)の最大化を担います。
代表的なKPIは次のとおりです。
- 継続率
- チャーンレート(解約率)
- NPS
- アップセル・クロスセル金額
- ヘルススコア
注意点として、FSからの引き継ぎ情報が不足していると、CSが顧客の「なぜ導入したか」を把握できないまま支援を開始してしまい、初期の定着率が下がります。契約後の体験品質は、FSがSFA/CRM上に残す引き継ぎ情報の質に直結します。
分業体制のメリット
分業体制の最大の価値は、「誰がやっても一定の成果が出る仕組みをつくれること」にあります。一気通貫型では個人の総合力に依存していたものを、役割ごとの専門性とKPIで管理できる状態にするのが本質です。BtoB営業組織が実感しやすいメリットを整理します。
ボトルネックの特定が容易になる
MQL→SQL→商談→受注→継続の各ステップで数字が取れるため、どのフェーズで歩留まりが起きているかを可視化できます。
一気通貫型では「営業が弱い」「マーケの施策が悪い」という定性の議論になりがちですが、分業体制ではKPIが機能ごとに分かれます。「商談数は十分にあるのに受注率が低い」ならFSの提案品質に課題があり、「MQL数は多いのにSQL化率が低い」ならISのアプローチ手法またはMQL定義の精度に問題がある、という形で原因の特定と改善施策の設計が明確になります。
専門性の向上と育成の効率化
担当範囲が絞られることで、各ロールが深い専門性を積めるようになります。ISであれば電話・メールによる商談化スキル、FSであれば複雑な提案・クロージングスキル、CSであれば活用促進・解約防止のスキルを、それぞれ集中して磨けます。
育成コストも下がります。一気通貫型では新人が「全部」を習得するまで一人立ちできませんが、分業型ではまずISとして商談創出スキルを磨き、その後FSに異動するなど、段階的な育成設計が可能になります。育成の型ができることで、組織としての再現性も高まります。
カバー範囲の拡大とアタック数の増加
FSが追客・ナーチャリングを抱えなくなることで、純粋な提案・クロージングに集中できる時間が増えます。ISが専任でリードフォローを担うことで、FSが対応しきれずにいた中長期リードの案件化機会が生まれやすくなります。
結果として、同じ人員数でカバーできるリードの総量が増え、パイプライン全体の厚みが出ます。特に検討期間が長い商材では、ISによる定期的なナーチャリングが営業効率化の観点からも商談化率の向上に寄与します。
分業体制のデメリットと注意点
分業体制は効果が高い一方で、設計と運用を誤ると「各部門が自分のKPIだけを追う個別最適の組織」になります。このリスクは導入後に顕在化することが多く、メリットと同じ比重で事前に理解しておく必要があります。
情報共有コストの増加
担当者がフェーズをまたいでバトンタッチする回数が増えるため、顧客情報の引き継ぎが不完全になりやすい状況が生まれます。特に「ISがヒアリングした課題・温度感」がFSに伝わらないまま初回商談を迎えると、顧客側からすれば「また最初から説明しなければならない」という体験になり、商談の滑り出しが悪くなります。
対策として有効なのは、SFA/CRMでの情報記録を「渡す側のルーティン業務」として標準化することです。ISがFSに渡す際の引き継ぎ項目(課題・予算感・決裁者・検討タイムライン・過去の接触履歴)を明文化し、CRM上で確認できる状態を作ることが最低条件です。
顧客体験の分断リスク
担当者が変わるたびに顧客が同じ説明を繰り返す必要が生じると、不満につながります。特に検討期間が長く(1か月以上)、意思決定者が複数いる複雑な商材では、担当変更による顧客体験の分断リスクが高まります。
対策として、顧客に対して「専任担当が変わる理由と利点(専門家がそれぞれのフェーズを担当する)」を明示することが有効です。また引き継ぎ時に過去のやりとりを顧客ごとに確認できる状態をCRMで担保することで、担当者が変わっても文脈が途切れない体験を実現できます。
部門間の個別最適(サイロ化)
マーケはMQL数を追い、ISは商談数を追い、FSは受注数を追う。それぞれがKPIを達成していても、全体のパイプライン品質が上がらないケースが分業体制の典型的な副作用です。
具体的な症状として、「ISが商談数目標を達成するために質の低い商談を大量にFSに渡す」「FSが受注しにくいと判断した案件をISに押し戻し続ける」といった状況が発生しやすくなります。対策は、共通のゴール(受注件数・売上など)を各部門が共有する目標として持つ設計にすることです。各部門が自部門のKPIだけでなく、お互いのKPIをモニタリングできるダッシュボードを設けることで、全体最適の意識が保ちやすくなります。
担当者のモチベーション管理
役割が限定されることで、「受注の達成感を感じにくい」という問題がIS・マーケでは発生しやすくなります。商談を創出しても受注シーンに立ち会えないため、自分の活動が成果にどう貢献しているかが見えにくいためです。
対策として、受注に貢献した上流工程の担当者が成果を可視化できる評価設計にすることが重要です。受注時にISへフィードバックを共有する習慣を組織として作ること、貢献した上流担当者の成果をレポートで参照できるようにすることが、モチベーション維持に直接効きます。
分業体制が機能しないパターンと対策
分業体制を導入したにもかかわらず成果が出ない組織には、共通したパターンがあります。「仕組みを作ること」が目的化し、「パイプラインを動かすこと」が後回しになるケースです。典型的な失敗パターンと、その処方箋を整理します。
渡し基準(MQL・SQL定義)が曖昧なまま運用を始める
症状として、マーケからISへの渡しが担当者の感覚に依存し、ISがスコアリング基準を無視して「とりあえず電話」を繰り返す状態が続きます。結果、商談化率が低水準のままで安定せず、原因の追跡もできません。
処方箋として、MQL・SQLの定義を「行動履歴(ページ閲覧・資料ダウンロード・ウェビナー参加等)+属性(業種・企業規模・役職)」の組み合わせで明文化し、全部門で合意することが出発点です。初期の定義は精度が低くて構いません。重要なのは定義を持ち、四半期ごとに受注率データで精度を検証して更新し続けることです。
KPIが「量」だけで「質」を測っていない
症状として、IS担当が商談数目標を達成しているのに、FSの受注率が下がり続けます。量は達成しているのに全体の成果が伸びないため、原因の特定が難しくなります。
処方箋として、ISのKPIに「SQL化率」と「商談後のFSからのフィードバックスコア(渡してもらった商談の質評価)」を追加します。量と質のバランスを確認する定期レビュー(月次のIS・FSジョイントミーティング)を設けることで、渡し基準の機能不全を早期に発見できます。
ツールの整備よりも先に組織を動かそうとする
症状として、SFA/CRMが未整備のまま分業体制に移行し、各部門が独自のスプレッドシートで管理を続けます。部門間の情報が統合できないため、フェーズごとの転換率が取れず、どこがボトルネックかを特定できない状態が続きます。
処方箋として、分業体制の設計と同時にSFA/CRMの設計も進めることが必要です。少なくとも「取引先・案件・コンタクト・アクション」が一元管理できる状態を、体制移行前に整備します。ツールが整っていない状態で分業体制を始めると、各部門が独立した情報管理を続け、分業の効果が出るどころか引き継ぎコストだけが増えます。
分業体制が向く組織・向かない組織
分業体制はすべての組織に有効なわけではありません。リードの量・商材特性・組織フェーズによって、効果が出やすい条件とそうでない条件があります。導入の判断を誤ると、人員を増やしても成果が上がらない状態が続きます。
分業体制を優先すべき条件
次の条件を多く満たす組織ほど、分業体制の効果が出やすくなります。
- 月次のリード数が一定数以上あり、IS段階でのナーチャリング・スコアリングに工数をかける価値がある
- 商材の検討期間が長く(おおむね1か月以上)、中長期リードをフォローし続ける必要がある
- 受注後の継続率・アップセルがビジネスモデルの中心にある(SaaS・サブスクリプション型など)
- データをもとに意思決定する文化が組織に根づいている、または根づかせようとしている
- プロセス改善に投資できる人材・ツール・時間のリソースがある
特にデータドリブンな組織文化は重要な前提条件です。KPIを定義して計測し、データに基づいて運用を改善するサイクルが回せない組織では、分業体制の設計だけが整っても改善が進みません。
一気通貫型を続けるほうが現実的なケース
次のような状況では、一気通貫型を維持するか、部分的な分業から始めることを検討する余地があります。
- 営業担当者が2〜3名以下で、専任担当を置けるほど人員がいない
- 月次のリード数が少なく、IS専任を置いてもリソースが余る
- 受注型(プロジェクト単位・単発)で、CSが継続管理する構造でないビジネスモデル
- 顧客との長期的な個人関係が受注の主要因で、担当変更が顧客離反につながるリスクが高い
これらの条件が重なる場合、4機能への分業体制を無理に進めると、専任担当者のリソースが余るか、人員不足で各機能が中途半端な状態になります。
段階的な移行パターン
いきなり4機能すべてに分けるのではなく、まずIS専任1名を置いて「マーケ+IS」と「FS+CS」の2分割から始める段階的な移行が現実的です。
最初のステップでISを専任化することで、商談化率と商談数をKPIとして独立して管理できるようになります。この段階でKPIが取れる状態が整ったあとに、FSとCSの分離(受注後担当の専任化)を検討する順序が実務的です。
組織をどのような軸で分けるか(業界別・製品別・地域別など)については、営業組織の分け方:業界・製品・地域別の担当区分の設計で整理しています。
部門間連携の設計:4機能をつなぐ仕組み
4機能を定義しても、部門間の連携が設計されていなければ「担当範囲を決めただけ」に終わります。各機能がデータを共有し、フィードバックを循環させる仕組みが、分業体制の実効性を決めます。
データ連携の基盤としてのSFA・CRM
4機能が同じCRM/SFA上でリード・案件・顧客情報を管理することが、情報の断絶を防ぐための最低条件です。部門ごとに別々のスプレッドシートや管理ツールを使い続ける限り、フェーズをまたいだ情報の引き継ぎは口頭・メールに依存し続けます。
具体的に必要なデータ連携の設計は次のとおりです。
- マーケ→IS リードのソース・スコア・行動履歴(どのコンテンツを閲覧したか・何をダウンロードしたか)が確認できる状態
- IS→FS ヒアリング内容・顧客の課題・決裁者情報・検討タイムラインが案件に記録されている状態
- FS→CS 受注理由・顧客の導入目的・合意した成功指標がCRMに残っている状態
例えばMazrica Salesのような統合型SFA/CRMでは、取引先・案件・コンタクト・アクションが1つのデータ構造で管理されます。ISがヒアリング内容をアクションとして記録し、案件に紐づけておくことで、FSはコンテキストを把握した状態で商談に入れます。フェーズをまたいだ情報の引き継ぎが同一システム上で完結できる環境を整えることが、分業体制を機能させる土台です。
定期的なフィードバックループの設計
データを蓄積するだけでなく、受注データをFSからISへ、ISからマーケへ定期的に戻す「フィードバックミーティング」の設計が必要です。
最低限の設計として、月次でIS・FS間の商談品質レビュー(渡した商談の受注率・失注理由の共有)、四半期でマーケ・IS・FSのパイプライン全体レビュー(チャネル別の受注貢献度・MQL精度の確認)を実施することを出発点にできます。このフィードバックループの目的は、上流工程が「どのリード・どのアプローチが受注につながったか」を知ることです。マーケがどのコンテンツ・チャネルから受注につながるリードを獲得しているかを把握することで、施策の優先度の精度が上がります。ISが「どのトークで商談化したリードが受注しやすいか」を知ることで、アプローチの質が改善されます。
MQL・SQL・渡し基準のドキュメント化
「いつ・どの状態になったら次の工程に渡すか」を明文化し、全部門が参照できる場所に置くことが必要です。口頭合意だけでは、担当者が変わるたびに基準がリセットされます。
基準は初期設定のまま固定するのではなく、受注率・商談化率のデータをもとに定期的に見直します。受注につながるリードの特徴(業種・役職・行動パターン)が蓄積されてくるにつれて、MQL・SQLの定義の精度を段階的に上げていくことが現実的な改善の進め方です。
まとめ
4機能の役割と担当範囲、分業体制のメリットとデメリット、機能しないパターンとその処方箋、向く組織の条件、部門間連携の設計を整理しました。
導入の判断軸として整理すると、以下のとおりです。
- リードが一定数あり、検討期間が長く、データで意思決定できる文化がある組織なら、The Model型の4分業体制は営業生産性向上の有力な選択肢になります。
- 「今どのフェーズに詰まりがあるか」をKPIで確認し、詰まっているフェーズの専任担当を先に置く形で段階的に移行するのが現実的です。
- 体制を変えるだけでは成果は出ません。SFA/CRMでのデータ基盤整備と、部門間のフィードバックループを同時に設計することが必要条件です。
Mazrica Salesのような統合型SFA/CRMを活用することで、4機能が同一のデータ基盤上で案件・顧客情報を共有できる状態を整えることができます。分業体制の設計と並行して、どのデータを誰がどこに記録するかの運用設計を進めることをお勧めします。
営業組織全体の体制設計パターンや、機能軸以外の組織の分け方については、営業組織の体制パターンと設計の全体像でまとめています。
よくある質問
Q 営業の分業化とは何ですか?
営業プロセスを機能ごとに分割し、各役割が専門性を持って担当する組織設計です。一気通貫型(1人の担当者がリード獲得からクロージング・フォローまでを担う体制)との対比で使われます。The Modelに代表される4機能分業(マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス)が、BtoB営業組織では広く参照されています。
Q 営業プロセスの分業化を失敗させないために必要なことは何ですか?
大きく3点あります。第1に、MQL(マーケティング適格リード)・SQL(営業適格リード)の渡し基準を全部門で明文化・合意することです。第2に、各機能のKPIを量だけでなく質(商談化率・受注率への貢献度)でも管理し、フィードバックループを定期的に設けることです。第3に、SFA/CRMを整備して全機能が同一のデータ基盤上で情報を共有できる状態を、体制移行前に作ることです。
Q インサイドセールスとフィールドセールスの違いは何ですか?
インサイドセールス(IS)は、マーケティングから渡されたリードに対してオフィス内(電話・メール・オンライン)でアプローチし、商談化してフィールドセールスに渡すまでを担います。フィールドセールス(FS)は、ISから渡された商談を対面またはオンラインで提案・クロージング・受注まで担当します。ISが「商談の量と質を揃えて渡す」役割を担い、FSが「渡された商談を受注に変える」役割を担うという分担です。
Q The Modelはどのような会社・ビジネスに向いていますか?
受注後の継続収益(サブスクリプション・サービス継続)がビジネスモデルの中心にあるSaaS・サービス業で特に効果が高いモデルです。それに加えて、月次リード数が一定量以上あること・検討期間が1か月以上の商材であること・データをもとに意思決定できる組織文化があることが、効果が出やすい条件です。逆に、営業担当者が少人数・リード数が少ない・単発受注型のビジネスでは、段階的な部分分業または一気通貫型の維持が現実的な選択肢です。
Q 営業の分業体制においてSFA/CRMはなぜ必要ですか?
分業体制では担当者がフェーズをまたいでバトンタッチする回数が増えるため、顧客情報の引き継ぎが体制の生命線になるからです。SFA/CRMが整っていない状態では、各部門が独自のスプレッドシートで管理を続け、MQL・SQL・受注率などのフェーズごとのKPIが取れません。ボトルネックを特定できない状態では分業体制の改善サイクルが回せず、「分業の仕組みを作っただけ」に終わります。取引先・案件・コンタクト・アクションを一元管理できる状態が、分業体制を機能させる最低限の基盤です。







