「エクセルで案件管理を始めたいが、何を入れればよいか分からない。」もしくは、「今の管理表では担当者によって書き方がバラバラで、誰かが休むと状況が把握できない。」といった課題を抱えているチームは少なくありません。
この記事では、案件管理表に必要な項目、テンプレートの作成方法、条件付き書式の設定手順、運用時のポイント、エクセル管理の限界、SFAへ移行すべきタイミングについて解説します。
この記事の内容
エクセル案件管理表の作り方
案件管理表を作るうえで押さえておきたいのは、「項目設計」「テンプレート作成」「条件付き書式」という3つのステップです。それぞれの内容を順番に確認していきましょう。
ステップ1:必須項目を設計する
まず、案件管理に必要な情報を整理します。最低限管理しておきたい項目は、以下の10項目です。
- 案件名
- 顧客名(社名・担当者名)
- フェーズ(アポ・提案・見積・クロージングなど)
- 確度(A:80%以上、B:50%以上など、自社基準を決める)
- 見込金額
- 受注予定日
- 最終活動日
- 次回アクション内容
- 次回アクション予定日
- 担当者名
この10項目の中でも、特に「最終活動日」と「次回アクション予定日」は重要です。この2種を管理しておくことで、長期間放置されている案件を一覧で把握できます。
「進んでいた案件が、3か月間誰もアプローチしていなかった」という事態を防ぐために、この2項目は管理することを推奨します。。
また、フェーズと確度は、最初に自社の定義を統一しておくことが大切です。「Aは何%以上か」「提案フェーズとはどの状態を指すのか」といった基準が人によって異なると、管理表を見ても案件の進捗状況を正しく把握できません。入力ルールと一緒にドキュメント化し、チーム全体で共通認識を持てるようにしましょう。
ステップ2:エクセルでテンプレートを作成する
テンプレートは、1案件につき1行で管理することを基本ルールとして作成します。1つの案件を複数行に分けて管理すると、集計やフィルターで正しく情報を抽出しづらくなります。情報量が多くても、1案件は必ず1行に収めるように設計しましょう。
視認性を高めるには、セル幅を内容に合わせて調整し、ヘッダー行に背景色を設定します。また、行ごとに薄い色を交互に設定すると、横に長い表でも行を見失いにくくなります。枠線は太枠と細枠を使い分けてグループの境界を明確にすると管理しやすくなります。

テンプレートを一から作る手間を省きたい場合は、以下の無料テンプレートをご活用ください。フェーズや確度、次回アクションなど必須項目をあらかじめ設計しているため、すぐにお使いいただけます。
ステップ3:条件付き書式・プルダウン・関数で入力ミスを減らす
テンプレートを作成したら、入力ミスや管理漏れを防ぐための設定を追加しましょう。
条件付き書式は、セルの値に応じて表示形式を自動的に色を変える機能です。例えば、確度が「A」の案件は緑、「C」の案件は赤で表示するよう設定しておくと、一覧を見るだけで重点案件を判断できます。受注予定日を過ぎても、未受注の案件を赤く表示するよう設定すれば、対応漏れの案件を防ぐアラートとしても使えます。
プルダウン(データ入力規則)は、フェーズや確度など選択肢が決まっている項目に設定します。手入力のままでは、「アポ取得」「アポ済み」「アポ完了」のように表記がばらつき、フィルターや集計で正しく抽出できない場合があります。データの入力規則で選択肢を固定すると、こうした表記のばらつきの問題を防げます。

関数は、見込金額の合計やフェーズ別の件数を自動計算するために使います。例えば、SUMIF関数でフェーズ別の見込金額を集計したり、COUNTIF関数で確度Aの案件数を集計することで、営業会議に必要なデータをすぐに確認できます。SUMPRODUCT関数を使えば「確度×見込金額」の加重合計を算出し、簡易的な売上予測(ヨミ管理)も可能です。
エクセルで案件管理する際の運用ポイント
テンプレートを作っただけでは管理はうまく機能しません。継続的に活用するために、日々の運用で意識したい3つのポイントを整理します。
1. 管理の目的を明確にする
まずは、「何のために案件管理を行うのか」を明確にしましょう。
受注率を高めたいのか、フォロー漏れを防ぎたいのか、目的があいまいなままテンプレートを作ると「念のため」という理由で管理項目が増え続け、入力が億劫になります。最終的に更新されない管理表になってしまい、十分に活用されなくなる恐れがあります。
目的は1〜2つに絞り、その目的に必要な項目だけを管理するシンプルな設計を心がけましょう。
2. 「1案件1行」のルールを徹底する
複数人で同じ管理表を利用する場合は、「1案件につき1行で管理する」というルールを全員で統一することが重要です。
複数人が同じシートを使う場合、担当者ごとに入力方法が異なるとデータの形式が揃わず、集計や検索がしづらくなります。口頭での共有だけでは不十分で、ドキュメントに残して新しいメンバーにも確実に伝わる状態を作っておく必要があります。整備したはずの管理表が元の無秩序な状態に戻る「先祖返り」の原因は、ルールの形骸化です。
3. テンプレートと運用ルールを定期的に見直す
案件管理表は、一度作成したら終わりではありません。
ビジネスの変化に合わせて、管理すべき項目も見直す必要があります。四半期に一度、現場のフィードバックをもとに「使われていない項目はないか」「フェーズ定義は現場の実態と合っているか」を確認し、不要な項目は削除しましょう。
エクセルで案件管理するメリット
エクセルが多くの組織で今も使われているのには、主に次の2つの理由があります。
コストをかけずにすぐ始められる
Microsoft Officeのライセンスがあれば、今日から案件管理を始められます。営業担当者が少人数で、まずは案件管理の仕組みを整えたい段階であれば、専用ツールを導入するコストと学習時間をかけるより、エクセルで運用を始めるほうが効率的な場合もあります。
自社の業務にに合わせて自由に設計できる
管理項目の追加・削除や計算式の変更、書式の調整などを自由に行えるため、自社の営業プロセスに合わせた管理表を作成できます。
確度の基準や営業フェーズなど、自社独自の運用ルールを柔軟に反映できる点も、エクセルならではのメリットです。
エクセルで案件管理する7つのデメリット
チームの規模や商談数が増えると、エクセルでの案件管理では次のような課題が発生しやすくなります。実際の失敗シーンとあわせて確認します。
1. 他ツールとの連携が難しい
MAツールなどから取得したリード情報を手作業で転記する必要があるため、転記ミスや二重入力が日常的に発生します。システム間のデータ連携を手作業で行う運用では、情報の更新漏れや転記ミスが起こるリスクもあります。
2. 過去の対応履歴を確認しづらい
「この顧客に対して3か月前にどんな提案をしたか」を確認しようとすると、セルのコメントや別シートを確認する作業が必要になります。商談数が増えるほど情報を探す時間が長くなり、商談準備の負担も大きくなります。。
3. 外出先で更新しにくい
商談直後にスマートフォンから管理表を開いて更新しようとすると、表示が崩れたり、保存が競合したりします。結果として帰社後に入力する習慣が生まれ、情報の鮮度が落ちます。商談直後に記録できないことは、営業活動の質に直結する問題です。
4. ファイル共有・バージョン管理が煩雑になる
たとえば「最新版_v3_修正済み.xlsx」というファイルが複数作成されると、どれが最新の管理表なのか判断しづらくなります。誤って古いファイルを参照・更新してしまうと、正しい情報を共有できず、意思決定にも影響を及ぼす可能性があります。
5. 複数人での同時編集が難しい
複数人が同じファイルを同時に更新する運用では、「誰かが開いていて編集できない」という待ち時間が頻発します。更新のタイミングが被れば、どちらかの変更が上書きされて消えるリスクもあります。
6. 大量の案件データを管理しづらい
数式や条件付き書式を多用した管理表で案件が数百件規模になると、フィルターの再計算や検索に時間がかかり始めます。
7. 属人化しやすく、最新状況を把握しづらい
エクセルでは、商談の経緯や顧客とのやり取りが担当者ごとに管理されやすく、案件の進捗状況や背景を他のメンバーが把握しにくい場合があります。また、引き継ぎ時に経緯がセルに埋もれてしまうと、後任が状況を把握するのに相当な時間がかかります。マネージャーが案件の現状を把握したいと思っても、担当者が更新していなければリアルタイムの情報は得られません。
関連記事:SFAとExcelのメリット・デメリットとは?営業プロセスを見える化する2つの営業管理方法
エクセル・Googleスプレッドシート・SFA/CRMの違い
エクセルに近い選択肢としてGoogleスプレッドシートがあります。さらに規模や目的によってはSFA/CRMという選択肢が最適な場合があります。ここでは、3つの違いを整理します。
| 観点 | Excel | SFA/CRM | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | データの記録・保管 | データの共有・同時編集 | 営業活動の支援・成約率向上 |
| 入力の負担 | すべて手入力 | すべて手入力 | メール・名刺・予定を自動同期。名寄せ機能搭載 |
| 情報共有 | ファイル共有が必要(先祖返りリスク) | クラウド上で管理(同時編集可) | クラウドで常に最新・一元管理 |
| 他ツール連携 | 標準では限定的 | 標準では限定的※ | APIで連携可能 |
| 分析・予測 | 関数・集計作業が必要 | 関数・集計作業が必要 | 製品によってはAIが受注確度や着地を自動予測 |
| モバイル対応 | スマホでの閲覧・編集は困難 | アプリで閲覧・編集が可能 | 専用アプリで外出先から即更新 |
| コスト | 追加費用なし(既存ライセンスの範囲) | 無料 | 月額費用が発生 |
※Googleスプレッドシートは、Google Apps Script(GAS)を活用することで、他ツールとの連携を拡張できます。本表は標準機能を前提とした比較です。
それぞれの違いを一言で言うと、エクセルは「記録と保管」、Googleスプレッドシートは「共有と同時編集」、SFA/CRMは「営業活動そのものの支援と成果向上」を目的としたツールです。自社で何を優先したいのかに応じて、適したツールを選びましょう。
関連記事:案件管理ツールおすすめ7選【比較表付き】導入メリット・選び方を解説
SFA/CRMへの移行タイミング
エクセル管理が悪いわけではありません。重要なのは、自社の事業規模や運用状況に応じて、適切なタイミングで管理方法を見直すことです。SFA/CRMへの移行を検討する際は、次の4つの条件を確認してください。
SFA/CRMへの移行を検討する4つの目安
営業担当者が5名以上になったとき
営業担当者が増えると、案件情報をリアルタイムで更新や更新ができな苦なります。主には、5名を超えると、誰がどの案件をどの状況で抱えているか、口頭や会議で把握し続けることが難しくなります。
月間商談数が50件を超え、管理負荷が高まってきたとき
進捗の抜け漏れや放置案件が増え、個人の記憶や管理で補えなくなります。50件を超えたあたりから、「フォローできていない案件がある気がするが、どれかが把握できていない」と感じることが増えてきた場合は、エクセルでの管理に限界が近づいているサインです。
部門間で顧客データを共有する必要が生じたとき
マーケティングから営業、営業からカスタマーサクセスへと顧客情報を引き継ぐ運用では、手作業によるエクセルでのデータ連携は更新漏れや情報のタイムラグが生じやすくなるため、部門間でリアルタイムに情報を共有できる環境が求められます。
「記録」から「売上の最大化」へ目的が変わったとき
管理の目的が「記録」から「売上の最大化」に変わったとき、SFA/CRMの導入を検討する目安です。商談後の手入力が多いと感じ始めたり、「どの案件にどれだけ時間を使うべきか」の判断を感覚に頼っていると、エクセルだけでは管理が難しくなることがあります。営業活動の自動化や売上予測を活用したい場合は、、自動化や予測を備えたSFA/CRMの導入を検討すると良いでしょう。
エクセル案件管理のデメリットを解消した事例
実際に、エクセルからSFA/CRMへ移行した企業の事例を2つ紹介します。
株式会社翻訳センター:エクセル脱却で解約率を1桁台に維持

翻訳センターでは、エクセルでの顧客管理が「記録するだけ」の状態になっており、データを分析・活用する段階に至っていませんでした。データ件数の増加にともないファイル管理にも限界が生じていました。
Mazrica Sales導入後は、新規顧客と既存顧客を分けた顧客管理、売上予測レポートの分析、売上確度の見極めに活用しています。対応漏れのない顧客フォロー体制を構築した結果、サブスクリプションサービスの解約率を1桁台に維持しています。
関連記事:【Mazrica Sales導入事例】営業データの「記録」から「活用」へ|エクセル脱却で実現した営業活動の最適化
株式会社PR TIMES:直感的な進捗管理で状況把握の時間を削減
PR TIMESでは、メディアリレーションをエクセルで管理していましたが、属人化と最新情報の不明確さが課題でした。Mazrica Sales導入後は、案件の進捗状況を視覚的に一覧把握できるようになり、過去情報の正確な引き継ぎも可能になっています。担当者は「生産性が圧倒的に上がった」と話しています。
SFA/CRMを活用した案件管理:Mazrica Salesの場合
SFA/CRMの選定を始めた方向けに、Mazrica Salesが案件管理でどのように機能するかを紹介します。

Mazrica Salesは、誰でも使えて成果が出せるSFA/CRMです。案件管理における主な機能は以下のとおりです。
- 案件ボード:案件をカード形式で表示し、ドラッグ&ドロップでフェーズを移動できます。直近のアクション状況に応じて色分け表示ができるため(1週間以内=青、1か月以内=黄、1か月超=赤)、放置案件を一目で把握でき、フォロー漏れの防止に役立ちます。
- AIフォーキャスト(AI案件予測):蓄積した営業データをもとにAIが受注確度・着地見込みを算出します。担当者の感覚に依存していた判断を、データに基づく予測へと変えられます。
- メール・カレンダー連携:GmailやOutlookと連携し、メールのやり取りや訪問予定が自動で案件詳細に紐づけられます。手入力の手間を削減し、案件情報の鮮度を保てます。
- AIアシスタント:案件・取引先・コンタクトごとの営業活動履歴をAIが自動要約し、次に取るべきアクション候補を提示します(Growthプラン以上)。
- 名刺OCR・手書きメモOCR:名刺や手書きメモをスキャンして自動データ化できます。商談直後にモバイルから入力することも可能です。
まとめ
エクセルでの案件管理を続けるべきか、SFA/CRMへの移行を検討すべきかは、自社のチーム規模や商談数、運用状況に応じて判断することが大切です。
営業担当者が4名以下もしくは月間商談数50件未満である場合は、エクセルでも十分に案件管理を行えます。まずは本記事で紹介したテンプレートや運用ルールに沿って、管理表の精度を上げることから始めるのがオススメです。
一方で、5名以上のチーム、月間商談数50件以上、または部門間でのデータ連携が必要になってきた場合は、SFA/CRMへの移行を検討する時期です。移行をスムーズに進めるためにも、まずは、現状の案件データとフェーズ定義を整理し、エクセルを「1行1案件」形式で整備しておくと、CSVインポートによるデータ移行がしやすくなります。
そして、管理の目的が「記録」から「売上を伸ばす」ことへ変わったタイミングでは、AIによる受注確度予測・放置案件アラート・入力の自動化を備えたSFA/CRMが有力な選択肢になります。
まずエクセルでの案件管理から始めたい方は、以下の無料テンプレートをダウンロードしてご活用ください。
よくある質問
Q1. エクセルの案件管理表に必要な項目は何ですか?
最低限押さえるべきは、案件名・顧客名・フェーズ・確度・見込金額・受注予定日・最終活動日・次回アクション内容・次回アクション予定日・担当者名の10項目です。「最終活動日」と「次回アクション予定日」は放置案件を防ぐために特に重要です。
Q2. エクセルで複数人が同時に案件管理する方法はありますか?
SharePointやOneDriveを使ったExcel Online(クラウド版)に切り替えると同時編集が可能になります。ただし、更新が競合する場合もあるため、チームが5名を超えたらSFA/CRMへの移行を検討するタイミングです。
Q3. 案件管理表をエクセルからSFAに移行するときのデータはどうすればよいですか?
多くのSFA/CRMはCSVインポートに対応しています。エクセルの管理表を「1案件につき1行」形式で整備しておくと、移行時の手間を最小化できます。Mazrica SalesもCSV一括登録に対応しています。
Q4. エクセルとGoogleスプレッドシートはどちらが案件管理に向いていますか?
複数人で同時に更新する必要があるならGoogleスプレッドシートが便利です。少人数で運用する場合や、ファイル共有で十分に管理できる場合は、エクセルで問題ありません。どちらも分析・予測・他ツール連携には制限があります。
Q5. エクセルで売上予測(ヨミ管理)をするにはどうすればよいですか?
SUMPRODUCT関数を使って「確度×見込金額」を合計することで、確度を加味した売上見込み(ヨミ)を算出できます。ただし、確度は担当者の主観に依存するため精度は限られます。過去の受注パターンに基づく客観的な予測が必要になったタイミングが、SFA移行の目安です。
Q6. 無料で使えるエクセルの案件管理テンプレートはありますか?
本記事内のバナーから案件・顧客管理のExcelテンプレートを無料でダウンロードできます。フェーズ・確度・次回アクションなどの必須項目が設計済みです。
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