スマートフォンを使った検索は、もはや日常生活に欠かせないものになっています。
「今日、何回スマホで検索しましたか?」あるいは「何回AIに問いかけましたか?」と聞かれても、回数が多すぎて覚えていないという人が大半なのではないでしょうか。
このように、何か気になることがあったときにスマホなどのモバイル端末で検索したりAIから回答を得たりする行動を「マイクロモーメント」と言います。
本記事では、AIの台頭により進化するマイクロモーメントの概要や重要性を踏まえ、最新のマーケティングへの活用事例について紹介します。
この記事の内容
マイクロモーメントとは

マイクロモーメントとは、2015年にGoogleが提唱した概念で、ユーザーが「知りたい」「買いたい」などの衝動から、反射的にモバイルデバイスで検索行動をとる「瞬間の行動」を指します。
日常生活や仕事のなかで「知りたい」「行ってみたい」などの感情が湧き出る瞬間は少なくありません。ユーザーはこのような瞬間があれば、スマホなどのモバイル端末を使って即座に検索行動をして欲求を満たします。
しかし現代における「検索行動」はGoogle検索に留まりません。ChatGPTやAIチャットとの対話から、瞬時に答えを得るスタイルが急速に浸透しています。
AIとの対話であれば、複数のサイトを巡回しなくても、膨大な情報から「自分だけに最適化された回答」をピンポイントで受け取ることが可能です。
このように、ユーザーが欲求を感じてから解決するまでの時間は、AIの登場によってかつてないほど「マイクロ」化しており、企業にはこれまで以上に「その一瞬」を捉えるスピードが求められています。
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顧客の行動を左右する4つのマイクロモーメント
Googleでは、マイクロモーメントには4つのシーンがあるとして「know」「go」「do」「buy」と4つに分類しています。それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
知りたい:want-to-know
一つ目のマイクロモーメントは「知りたい」という欲求からの検索行動です。
Googleによると、66%ものスマホユーザーがテレビCMで見た商品について検索をするとしています。つまり、何かを見たとき・聞いたときに「ちょっと気になる」「もっと知りたい」といった欲求から検索する瞬間は、日常の多くのシーンにあることを物語っています。
具体的には、以下のような検索キーワードがknowのマイクロモーメントに当たります。
「SFAとは」=SFAとはどのようなものなのか知りたい
「日本一高い山 どこ」=日本一高い山はどこにあるのか知りたい
「オリンピック 開催国 過去」=過去のオリンピック開催国が知りたい
「オランウータン チンパンジー 違い」=オランウータンとチンパンジーの違いが知りたい
このようにknowの場合は単純に「知りたい」「気になる」という程度の欲求のため、「行きたい」「やりたい」などのニーズが顕在化していないことが多い傾向にあります。
行きたい:want-to-go
次のマイクロモーメントは「どこかに行きたい」という欲求の瞬間です。場所や行き方がわからなくて、スマホで地図や乗り換えなどを検索した経験がある人も多いことでしょう。
Googleによると82%ものスマホユーザーが周辺地域の情報を検索するとしています。どこかに訪れた際に周辺情報を検索して、その結果をもとに行動を決めるユーザーが多数いるということは、ローカルビジネスをしている企業はgoのマイクロモーメントを対策する必要があるでしょう。
たとえば、以下の検索キーワードがgoのマイクロモーメントに当てはまります。
「近くの居酒屋」=付近にある居酒屋に行きたい
「渋谷駅 ネットカフェ 安い」=渋谷駅周辺のリーズナブルなネットカフェに行きたい
「沖縄 ホテル おすすめ」=沖縄にある評判の良いホテルに泊まりたい
「Yahoo! ログイン」=Yahoo!のログイン画面に行きたい
goのマイクロモーメントの場合は、特定の場所だけでなくWEBサイト・WEBページも該当します。「行きたい」という欲求が顕在化しているため、コンバージョンにつながりやすいという特徴があります。
したい:want-to-do
三つ目のマイクロモーメントは「~したい」「何かをやりたい」といった検索欲求の瞬間です。解決策や方法・手順などを知り、実際に行動に移したいときに検索します。
Googleはスマホユーザーの91%が何かをする際のアイデアを求めて検索するとしています。多くのスマホユーザーが何かをする際にWEB上のコンテンツを参考にしていると言えるでしょう。
doのマイクロモーメントは、以下のような検索キーワードが該当します。
「親子丼 レシピ」=親子丼を作りたい
「スキンケア 順番」=正しい順番でスキンケアしたい
「投資 初心者 コツ」=初心者が投資をする際のコツを知って実行したい
「スパムメール 対策方法」=スパムメールの対策をしたい
doはgoと同様にニーズが顕在化しています。そのため詳しい方法・手順だけでなく、注意点やポイントなどの情報も追加すると、ユーザーにとって付加価値が高くなるでしょう。
買いたい:want-to-buy
そして最後のマイクロモーメントは、ユーザーの「買いたい」という欲求から生まれる検索行動です。インターネットショッピングやサブスクリプションビジネスが一般的になっている現代では、buyのマイクロモーメントを対策することで大きなコンバージョンを得られる可能性があります。
また商品購入やサービス契約の際、インターネットで口コミや評判について詳しく確認してから決めるというケースもbuyに該当します。Googleでも、82%のスマホユーザーが店頭で商品を購入する際には事前にインターネットで情報収集をするとしています。
buyのマイクロモーメントは以下のケースが該当します。
「オンライン商談ツール 口コミ」=口コミの良いオンライン商談ツールを利用したい
「スニーカー 通販」=スニーカーを通販で購入したい
「ベビーカー ランキング」=ベビーカーを買いたいからおすすめランキングを参考にしたい
「中古車 見積もり」=中古車を購入したいから見積もりをしたい
「買いたい」というニーズが顕在化しているため、適切にアプローチをすることで確実なコンバージョンにつながります。
マイクロモーメント分析はなぜ重要なのか

以前からユーザーがインターネットを使って検索する行動はありましたが、今になってなぜ「マイクロモーメント」として細分化して理解する必要が出てきたのでしょうか。
その背景と重要性について解説します。
モバイルデバイスの普及
マイクロモーメントを重視する一番大きな要因は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが普及してきたことにあります。
世帯における情報通信機器の普及率の推移を見ると、いかにモバイルデバイスが急速に普及しているかがわかります。

この表からも分かるように、2023年のデータではスマートフォンの普及率が90%以上とパソコンの普及率を超えており、スマートフォンを保有していることが当たり前の時代になっています。
スマートフォンとパソコンの最大の違いは、手軽さ。パソコンよりももっと手軽に使用できるため、サッと取り出してすぐに検索することができるようになっているのです。
パソコンが台頭していた時代は、一つの単語を検索するにも「パソコンを起動してインターネットに接続して検索エンジンを開く」という労力が必要だったため、検索欲求を抑え込むことも多い傾向でした。
しかしスマホの普及により検索行動が身近になり、ユーザーの検索スキルも向上して、さまざまな意図で検索する機会が増えているのです。
インターネットショッピングやサブスクリプションサービスの台頭
スマホの普及やITの進歩により、ユーザーがインターネットでできることが増えました。
それが、インターネットを使った商品購入やサービス利用です。具体的にはインターネットショッピングやホテルの予約、動画視聴、電子書籍による読書、オンラインでの会議などがあります。
インターネットショッピングやサブスクリプションサービスが一般的になり「あの商品を買いたい」「あのドラマを見たい」がさらに手軽なものになりました。インターネット環境であれば利用できるため、場所や時間を選ばずに商品を購入したりサービスを利用したりできるようになったのです。
関連記事:サブスクリプションビジネスとは?成功のポイントと用語を徹底解説
これに伴い、検索ニーズも多様化しました。今までは「この商品を買いたいから、買える場所を知りたい」「あのドラマが見たいから、いつテレビで放送されるか知りたい」といった間接的なニーズでしたが、「買いたい」「見たい」といった直接的なニーズへと変化したのです。
このような多様化する検索ニーズを背景に、マイクロモーメントを理解した施策が求められています。
マイクロモーメントがリード獲得に与える影響
スマートフォンの普及により、ユーザーは「気になった瞬間」に検索を行い、そこで得られた情報をもとに即座に行動を決定するようになりました。
このような変化が示しているのは、企業がリードを獲得するためには、ユーザーの“瞬間的な意思”に的確に応える必要があるということです。
こうしたモーメントにおいて、ユーザーが求める情報やソリューションを適切に提示できれば、そのまま問い合わせや資料請求といった具体的なアクションへとつながりやすくなります。
その結果、従来よりも短い検討プロセスでのリード獲得が実現されるのです。
また、マイクロモーメントを分析することで、
・ユーザーがどのタイミングで検索行動を起こしているのか
・どのキーワードがリード獲得に結びつきやすいか
・どのチャネル(検索、SNS、広告など)が高いコンバージョン率をもつか
といった、具体的なインサイトを得ることができます。
こうした分析結果を活用することで、マーケティング施策の精度は格段に高まり、見込み顧客の効率的な獲得とその後のナーチャリングにもつながっていくのです。
AIによる情報接触の変化
近年、SGE(Search Generative Experience)やAIの普及により、ユーザーの検索体験は劇的に変化しました。
SGEとは、Google検索結果の最上部にAIが作成した回答が表示される機能のことです。
ユーザーは各Webサイトを個別に開く手間がなくなり、検索結果画面だけで完結する「ゼロクリック検索」が一般化しつつあります。このような「情報の要約」が当たり前になった時代において、企業が単に一般的な情報を提供し続けるだけでは、ユーザーの印象に残ることは難しくなっています。
だからこそ、表面的な回答を提示するだけでなく、AIエージェントを活用して顧客一人ひとりの深い文脈に入り込むことが重要です。
「いつ、誰が、どのような意図で」その情報に触れたのか。そのマイクロモーメントを正確に捉え、AIがリアルタイムに先回りして個別最適化されたアプローチを行うことが、次世代のマーケティングと営業の勝ち筋となります。
マイクロモーメントのマーケティング活用事例

顕在ニーズ層に向けたWEBコンテンツ制作
4つのマイクロモーメントのなかでも、go・do・buyはニーズが顕在化しています。そのため顕在ニーズを満たす内容のWEBコンテンツを制作することで、ユーザーの関心を満たしてコンバージョンを高められるでしょう。
具体的な施策方法について、いくつか例を紹介します。
【go】
ローカルビジネスを展開している企業は、検索エンジン上のマップに表示させることでユーザーに認知してもらえます。GoogleマイビジネスやYahoo!プレイスに登録するとマッピングされるようになります。
また記事を制作する際には、記事内では住所だけでなく詳しい行き方や道順を説明し、画像も用いると親切です。実際の道順を示す動画を作成するのも効果的。
【do】
方法や手順だけでなく、注意点やポイントなども加えるとさらに分かりやすくなりユーザビリティが向上します。たとえば料理のレシピの記事であれば、材料や手順のほかに、おいしくなるワンポイントなどを付け加えます。
また、検索エンジンによっては動画が上位に表示されるケースもあります。やり方が詳しくわかるHow to動画の制作も検討しましょう。
【buy】
正しい商品名や価格、詳しい機能など、ユーザーが知りたいと思っている情報を過不足なく記載するようにしましょう。
WEBサイト上で商品購入やサービス登録などをするのであれば、購入ページや登録画面へのCTAも必要です。
潜在ニーズ層に向けたWEBコンテンツ制作
特にknowのマイクロモーメントでは、ニーズが顕在化していないため訴求方法が難しい場合も少なくありません。しかしうまく誘導すればknow以外のニーズに変化する可能性を秘めているため、適切なコンテンツ制作が必要です。
記事の中で有益な情報を提供して、ユーザーの信頼や関心を高めるような導線を作ります。
たとえば「SFAとは」というキーワードで検索するユーザーは、SFAを利用するかどうかは決めていないけれど、SFAについては興味を持っている段階です。そのようなユーザーに対しては、WEBコンテンツの中でSFAの具体的な機能や特徴について解説することでユーザーの購買意欲を高めると、お問い合わせやトライアル申し込みなどのコンバージョンにつながる可能性が高まります。
営業支援に特化したツール、SFA(営業支援システム)に関する記事はこちら:
リスティング広告などのWEB広告
広告を運用していると、キーワード選定に頭を悩ませる人も多いことでしょう。このような場合もマイクロモーメントを活用することができます。
広告経由での流入を分析し、クリック率やコンバージョン率が高いキーワードを洗い出します。そのキーワードが4つのマイクロモーメントのうちどれに該当するかを分析することで、ユーザーのニーズを把握できるのです。
このニーズをベースにして、効果の高いキーワードを選定していくと良いでしょう。
テレアポやメールマーケティングへの応用
ユーザーのマイクロモーメントは、テレアポやメールマーケティングなどのマーケティング施策にも活用できます。
自社サイトへの流入キーワードを分析し、どのようなマイクロモーメントで流入してきているかを把握できれば、ユーザーのニーズを理解できるからです。
自社商材を求めているユーザーはどのようなニーズがあるのかを理解すると、心に響きやすいトークスクリプトやメール文を作成できます。
関連記事:メールマーケティングとは?メルマガとの違い|メリットと実施方法
AIエージェントが変える「次世代マイクロモーメント」
従来のマイクロモーメントとは、ユーザーの検索というアクションが起点でした。
しかし、AI技術の進化により、その概念は「検索を待つ」ものから「AIが即座に最適な答えを提示する」ものへと劇的な変化を遂げようとしています。その中心的な役割を担うのが「AIエージェント」です。
AIエージェントとは
AIエージェントとは、AIを活用して自律的にタスクを遂行するソフトウェアのことを指します。従来のチャットボットのような単なる「指示待ち」ではなく、与えられたゴールを達成するために、必要な情報を収集・分析し、判断・実行まで行うのが大きな特徴です。
関連記事:AIエージェントとは?導入メリットやビジネスでの活用法・成功事例【2026年最新】
なぜAIエージェントはマイクロモーメントに重要なのか
AIエージェントの登場により、マイクロモーメントは「検索」という受動的なものから、「提案」という能動的な体験へと進化します。
検索行動を即座に察知
これまではユーザーが何かを知りたいと思った「後」に検索が始まりました。これに対しAIエージェントは、過去の行動データや現在の状況をリアルタイムに解析することで、ユーザーに対して瞬時に「次の一手」や必要な情報を提示できるようになります。
“点の行動”を”線の体験”へ
また、従来のマイクロモーメントは、検索して終わりという”点”の行動でした。AIエージェントはその瞬間の意図を読み取り、関連するタスクを自律的に実行します。
“検討”を”決断”へ
さらに、比較して買いたい(Buy)という場面では、複数のサイトを巡回する手間が壁となっていました。AIエージェントはそれら膨大な情報を瞬時に要約し、結論を提示します。これにより、検討から決断までの時間が極限まで短縮されます。
情報収集のスピードが加速した現代で、必要な情報に最短で辿り着けないストレスは大きな離脱を招きます。一人ひとりに最適な情報を即座に届ける「動的なWeb体験」を提供できるAIエージェントこそが、マイクロモーメント攻略の鍵となります。
では、BtoBのWebサイトにおいてAIエージェントを実装するとはどういうことか。訪問者がページを開いた瞬間にAIが問いかけ、課題を引き出し、最適な資料を提示して商談につなぐ——その具体的な活用方法を次のセクションで解説します。
Mazrica Engage|マイクロモーメントを捉え、商談を加速する
株式会社マツリカが提供する「Mazrica Engage(マツリカ エンゲージ)」は、AIエージェントが顧客のマイクロモーメントをリアルタイムに捉え、精度の高い商談へとつなげるプラットフォームです。
単なるチャットボットの枠を超え、顧客一人ひとりの検討状況に合わせた「動的なWeb体験」を提供します。

主な特徴と機能
- サイト内のコンテンツを学習したAIチャット「Hana」が顧客と対話を実行
- AIとの対話、コンテンツの閲覧状況を顧客ごとにデータとして格納
- 取得したデータはSFA/MAへ自動連携
- ダッシュボード機能でAIチャットの活用率やコンバージョン率を定量的に可視化
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終わりに
検索ニーズが多様化し購買プロセスが変化している現代では、ユーザーのニーズを把握しにくくなっています。しかし、顧客の「知りたい」「買いたい」という瞬間、つまりマイクロモーメントを捉えられないままでは、新規顧客やリピーター獲得が難しく、売り上げは停滞してしまいかねません。
だからこそ、この「スマホ×AI時代」を勝ち抜くために必要なのは、単なる分析に留まらない、一歩先の戦略です。
AIエージェントの力を借りることで、私たちは最適なタイミングで適切な一手を差し伸べることが可能です。マイクロモーメントを待つのではなく、AIと共に作り出し、応える体験へと進化させましょう。
自社のマーケティングや営業プロセスに、この新しい戦略を取り入れたい方は、以下の資料をご覧ください。
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