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三菱商事ロジスティクス株式会社は物流会社として、人手不足や輸送コストの上昇など、物流業界を取り巻く構造的な課題に向き合いながら、営業力とAI・データ活用を掛け合わせた提案力の強化に取り組んでいます。
その基盤として、主軸となるMazrica Sales、Mazrica Marketingに加え、AI企業データベース(Mazrica Target)、AIエージェント(Mazrica Engage)を導入しました。営業情報の一元管理、3つのカンパニーを横断した営業状況の可視化、カンパニー間のクロスセル機会の創出を支える営業基盤づくりを目指しています。
物流・商社業界の中でも先進的なこの取り組みに、同社はなぜ踏み出したのでしょうか。その決め手と狙いを、システム統括部の花田様に伺いました。
「物流で壁をなくせ」——お客様の成長と社会課題の解決に貢献する物流会社
貴社の事業内容について教えてください。主な顧客層、提供されている製品・サービスもあわせてお聞かせください。
花田様:当社は、国際輸送・国内輸送・倉庫運営・SCM・物流コンサルティングなど、物流に関わるサービスを提供しています。「次世代事業創造」「グローバルSCM」「モビリティ」の3つの事業領域を軸に、自動車関連物流をはじめ、食品、消費財、産業材、半導体・蓄電池関連まで幅広く手がけています。お客様は自動車・モビリティ関連企業からアパレル、機械、化学品まで多岐にわたります。営業活動で大切にしているのは、お客様の事業を深く理解し、目指す将来像まで踏まえて物流のあり方を一緒に考えることです。
貴社のミッションや、営業活動において大切にされている価値観を教えてください。
花田様:私たちのミッションは、お客様の物流の最適化・効率化・高度化の実現を通じて、より良い社会の構築に貢献することです。「物流で壁をなくせ」というコーポレートメッセージのもと、物流企画・設計機能とデジタル技術を組み合わせ、お客様の物流の可視化・デジタル化を進めながら、経営課題と社会課題の解決に取り組んでいます。
営業力を組織の競争力へ——システム統括部が担う"攻め"のIT
続いて、花田様ご自身の部署と役割、ミッションを教えてください。日頃連携されている部門もあわせてお聞かせください。
花田様:私はシステム統括部に所属し、全社へ安定したIT環境を提供する「守り」と、テクノロジーを活用して事業成長を加速させる「攻め」の両面を担っています。
今回の取り組みでは、顧客情報、案件情報、商談履歴を組織的に活用できる状態を整え、担当者個人の経験だけに依存しない営業体制を構築します。これにより、お客様とのこれまでのやり取りを適切に引き継ぎながら、カンパニーを横断した提案機会の創出を目指しています。
こうした背景のもと、現在は次の3つを重点テーマとして取り組んでいます。
- SFA・CRM・マーケティングオートメーション (MA)・AIを活用した営業活動の高度化
- 新規顧客の獲得〜育成までのプロセスを仕組み化
- 全社に蓄積されたデータを活用した、データドリブンな意思決定の実現
これらを経営企画部や営業部門と連携しながら全社横断で推進しています。
3カンパニーの案件情報を、ひとつにつなぐ——見える化とクロスセルへ
「攻めのIT」を推進するうえで、どのような営業基盤を実現したいとお考えでしたか。
花田様:当社は3つのカンパニー体制で事業を運営しています。
これまでも各カンパニーで情報共有は行われていましたが、どうしても営業情報が分散しやすく、全社視点で案件状況を把握したり、カンパニーを横断した提案活動につなげたりすることが難しい面がありました。
当社の競争力の源泉となる営業力を強化し、新規顧客の開拓や販路拡大を進めるためには、営業活動をデータとして蓄積し、全社で活用できる環境が必要だと考えました。
そこでまず目指したのが、3つのカンパニーの営業活動や案件パイプラインをリアルタイムで可視化し、全社で共有できる環境です。
具体的には、次の4点を実現したいと考えました。
- 営業活動や案件情報を全社で一元管理すること
- 営業の「属人化」を防ぎ、組織全体で成果を出せる仕組みを整えること
- 顧客との関係性を強化し、失注となってしまった案件を含め、継続的にフォローできる仕組みを整えること
- Webサイトからの問い合わせを確実に営業活動へつなげること
この基盤を構築することで、どのような成果や変化を狙っていたのでしょうか。
花田様:新規営業ではリードの数を増やして受注率を高めること、既存営業では、お客様の事業や課題をより深く理解し、必要に応じて追加の支援策をご提案することを狙っています。既存顧客への提案では、担当者が十分な知見を持たない他部署のソリューション(クロスセル提案)も含め、MazricaのAIを活用しながら、お客様にとって有益な選択肢を検討します。また、過去の成約事例を営業活動に活かすことで提案の質を高め、一つひとつの商談を着実に前進させていくことも狙いの一つです。
あわせて、営業報告や進捗管理、タスク管理までをMazricaの基盤上で一元化し、現場の業務効率化を進めることも目指しています。属人的なやり方に頼らず、誰が担当しても再現性高く成果を出せる、生産性の高い営業組織を実現したいと考えました。
決め手は使いやすさだけじゃない。AIが変える、提案のつくり方
比較検討の中で、最終的にMazricaを選んだ決め手は何でしたか。
花田様:顧客情報を扱うため、ユーザーごとのアクセス権限管理やデータの持ち出し防止など、必要なセキュリティ要件を満たすことを前提に、外資系ツールを中心に比較検討しました。しかし、機能が豊富であっても、現場が使いこなせなければ定着しませんし、投資に見合う効果を出せるかという懸念もありました。そうした中、セミナーをきっかけにMazricaを知りました。複数のツールを比較検討する中で、SFA/CRMとMAを一体で活用でき、当社の業務や習熟度に合わせて段階的に運用を育てられる点に魅力を感じました。導入後に現場で使い続けられる姿を具体的に描けたことが、最終的な判断につながっています。
決め手は5つありました。1つ目は、分かりやすいUIと操作性です。現場が無理なく使い続けられるシンプルさがあり、ユーザー自身がチャットボットで操作方法を確認できる点にも安心感がありました。2つ目は、設定の柔軟性です。標準の設計を生かしつつ、自社に必要な項目を追加できるため、運用しながら段階的に完成度を高められます。3つ目は、案件ボードの視認性です。案件の状況をひと目で把握でき、日々の進捗確認に使いやすいと感じました。4つ目は、SansanやOutlookなど既存ツールとの連携です。特にOutlookでは、メールごとにMazricaへ連携するかを選べるため、実務に組み込みやすい設計だと評価しました。5つ目は、取引先情報の入力を大幅に補完し、提案活動にも活用できるMazrica Targetです。必要な機能がそろっており、営業とマーケティングの一連の流れに沿って使えることが、当社にとって大きなポイントでした。
なお、他の国産ツールも比較しましたが、当社が重視したMA機能や企業データベースとの連携を含め、必要な機能を一つの基盤で実現できる点でMazricaが最も要件に合っていました。

SFA/CRMやMAだけでなく、Mazrica TargetやMazrica Engageまで最初から一体で導入されたのが印象的です。その理由を教えてください。
花田様:新規案件を増やすことが、今回のMazrica導入のテーマだったため、マーケティングの強化は必須条件でした。Mazricaさんに声をかけた時点で、マーケティング機能まで含めて使うことは初めから決めていました。
Mazrica Targetについては、独自の企業データベースの情報を参照し、自社サービスと組み合わせた提案のたたき台をAIで作成できる点に大きな可能性を感じました。私が比較した範囲では、企業データベースを利用するために外部SaaSとの追加連携が必要な製品もあり、コストや運用の複雑さが気になっていました。Mazricaでは同一の製品群として連携できるため、営業現場での活用イメージを描きやすかったことが、採用を後押ししました。
Mazrica Engageについては、当初は活用予定がありませんでした。しかし、自社の7つのLPについて、問い合わせフォームに入力してもらうよりも、チャットボット経由で資料請求などのアクションを起こしてもらうほうが、お客様にとって気軽に問い合わせやすくなると考え、導入を決めました。
導入の進め方については、当初はスモールスタートを検討していました。しかし、Mazricaは標準機能をベースに、導入後もユーザー自身で柔軟に設定や改善を行えるため、3つのカンパニーすべてへの導入に踏み切りました。
カンパニー横断のクロスセルという構想は、導入検討の当初からあったのでしょうか。Mazricaの選択にどうつながったのかを教えてください。
花田様:はい、この構想は当初から持っていました。背景には、全社横断で顧客管理・営業管理を行う仕組みをこれから整えていきたいという課題認識があり、物流・商社として複合サービスをワンストップで提案できる強みを、さらに活かしたいと考えていました。
この構想とMazricaが結びついた理由は2つあります。1つ目は、Mazrica Targetです。担当外の事業領域を含め、全社のサービスを掛け合わせた提案のたたき台を作れるため、これまで担当者の知識や人脈に左右されがちだったクロスセルを、組織的に進められる可能性を感じました。2つ目は、同じ物流業界での導入実績です。Mazricaが同業他社でも定着し、活用されていることは、安心材料の一つになりました。

引き合いの獲得から、経営判断まで—データがつなぐ営業の未来像
AI企業データベース(Mazrica Target)を、日々の営業活動の中でどのように活かしていきたいとお考えですか。
花田様:現在は本格運用に向けた準備段階です。活用にあたっては、まず顧客情報の守秘義務に十分留意し、権限設定と運用ルールを徹底することが前提になります。そのうえで、提案資料のたたき台作成、AIを活用したクロスセル候補の検討、取引先の最新ニュースの確認など、日々の営業に取り入れやすい用途から活用を進める予定です。さらに、営業情報の入力状況や案件進捗、LP経由のリードへの対応状況を確認しながら、営業活動の標準化と提案品質の向上につなげていきます。異動者や新任の担当者が、蓄積された議事録や商談履歴を手掛かりに早期に担当業務を立ち上げられることも、期待している効果の一つです。
Webマーケティング経由の引き合いを、Mazrica Engageを活用しながらどう営業機会につなげていきたいですか。
花田様:チャットボットを通じて、お客様が気軽に問い合わせや資料請求に進めるようにすること、そしてチャットでのやり取りから、新たに潜在的なニーズを拾い上げることも期待しています。加えて、LPへの来訪者のデータを活用できる機能もあわせて活用し、優先的にアプローチすべき見込み客を見極めながら、効率的な営業活動につなげていきたいと考えています。

蓄積される営業データは、経営・マネジメント層ではどのように活かされていくことになりますか。
花田様:まず、営業進捗をリアルタイムに把握できるようになることで、課題への早期対応や重要案件への適切な支援が可能になると期待しています。中長期的には、Mazricaに蓄積される営業データに加え、会計システムの実績データや業務システムのオペレーションデータを統合した「データ活用基盤」を構築し、BIツールやAIを活用してデータを多角的に分析できる環境を整備していく計画です。
この基盤が整うことで、経営・マネジメント層は営業活動と事業実績を横断的に把握できるようになり、より精度の高い経営判断や投資判断を行えるようになると考えています。また、事業やサービスごとの受注率や失注要因を分析し、強みや課題を客観的に把握することで、営業戦略の高度化や収益性の向上につなげていきたいと考えています。
価格競争から一歩先へ——新しい物流の価値創出への挑戦
今回の取り組みを通じて、貴社の営業のあり方をどう変えていきたいとお考えですか。Mazricaへの期待値もあわせてお聞かせください。
花田様:当社としては、営業のあり方を、誰が担当しても一定以上の成果を出せる仕組みへ、そしてデータに基づいた標準化・効率化された営業組織へと、徐々にシフトさせていきたいと考えています。
物流業界では、ドライバー不足や労働時間規制への対応により、輸送力の確保がますます難しくなっています。加えて、お客様のニーズも多様化し、物流会社には安定したオペレーションだけでなく、事業課題を深く理解した提案が求められています。だからこそ当社は、営業力とAI・データ活用を掛け合わせ、蓄積した知見を組織全体で活かしながら、お客様ごとに最適な物流のあり方を提案し、新しい物流価値の創出に挑戦していきたいと考えています。
この変化を支える基盤として、Mazricaには、単なる情報入力のツールではなく、営業とマーケティングをつなぎ、現場の行動とマネジメントの判断を支えるハブとしての役割を期待しています。導入して終わりではなく、マツリカ社とも活用状況や課題を共有しながら、当社に合った運用へ継続的に育てていく方針です。
同じ物流・商社業界の読者に向けて、なぜ今この投資が意味を持つとお考えですか。
花田様:物流業界では、価格交渉や条件調整において、担当者同士の信頼関係や長年の取引関係が重要な役割を果たしています。当社は、こうした関係性を大切にしながら、営業活動の可視化や分析、マーケティング施策を組み合わせることで、担当者の経験を組織の力として活かし、より良い提案につなげていきたいです。
しかし、人手不足が深刻化し、顧客ニーズも多様になる中で、潮目は変わりつつあると感じています。AIやデータ基盤への投資は、余力がある企業だけが行うものではありません。限られた人員で成果を高め、営業の知見を次の担当者へつなぐための基盤です。だからこそ、早い段階から小さく検証し、現場とともに改善を重ねることに意味があります。データに基づく経営・営業への転換が、当社の競争力向上だけでなく、物流業界が抱える課題の解決にもつながっていけばと考えています。

※ 本事例は2026年10月時点の情報です







