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リバースイノベーションとは、グローバル企業が自国で開発した製品を新興国や途上国に展開させるのではなく、新興国や途上国でその国のニーズを汲み取ってゼロベースから商品を開発することを指します。

そして、途上国や新興国で新しく開発した商品を自らの本拠地で展開していくのです。

従来のグローカリゼーションとは逆のルートをたどるリバースイノベーションですが、新しい商品を作ることができる魅力だけでなく実施の際の注意点も多くあります。
そこで、この記事ではリバースイノベーションそのもののメリットなどについて説明したあとに、具体例や実施の際の注意点についても紹介します。

リバースイノベーションとは

リバースイノベーションとは?|新しい商品開発のカタチ| Mazrica Sales (旧 Senses)  Lab. |1

関連記事:マスマーケティングとニッチマーケティングのどちらが向いている?|第三の市場スモールマスにも注目

リバースイノベーションとは、先進国の企業が途上国や新興国に拠点を持ち、そこの土地でゼロから開発をした商品を先進国に流通・展開していくことを指します。

従来のグローバリゼーションは先進国で作られた商品が新興国や途上国に展開するものでしたが、それとは反対のルートを辿るのがこのリバースイノベーションです。

2010年代はじめにゼネラル・エレクトリック社の例を元に理論化されたものであり、日本でも慶應義塾大学大学院経営管理研究科の小林喜一郎教授がこの推進を提唱しています。

リバースイノベーションの背景

リバースイノベーションの誕生の背景には、世界の経済・ビジネスの動向が激しく変動していることがあります。

・新興国の発展

新興国の発展はめざましいものがあります。新興国内の企業は柔軟な発想で破壊的イノベーションを生み出しており、先進国の企業がもはや太刀打ちできない状況も珍しいものではありません。

従来のグローカリゼーションではもはや通用せず、先進国の企業は新たな戦略を生み出す必要性に迫られるようになりました。

飽和しきった先進国の市場から新興国の市場に展開したいグローバル企業は、現地企業が独占している市場になんとか潜り込まねばならず、現地のニーズにあった商品開発の必要性に迫られ、その結果リバースイノベーションが生まれたのです。
これから拡大すると思われる市場になんとか適応しようとした結果がリバースイノベーションであると言っても過言ではないでしょう。

現地のニーズに合わせてゼロから商品を作ることで現地でも通用できる商品が生まれ、グローバル企業はさらに勢力を拡大できるようになります。

・柔軟な発想の必要性

新興国には、豊かな人材があるものの、従来の生活インフラが脆弱である場合が多く、結果としてむしろ新しいテクノロジーが受け入れられやすい土壌が出来上がっています。

そのため、新興国に拠点をおいて商品開発やマーケティングを行うことで、むしろ新しいテクノロジーを新しい方法で駆使した、柔軟な発展が見込めます。

新興国で生まれた新しいノウハウが先進国の方の方に逆輸入され、先進国の方でも革新的な方法として受け入れられれば、リバースイノベーションは想像もできないリターンを生み出す場合があります。

既得権益がはっきりしておりしがらみが多くなってしまっている先進国よりも、むしろしがらみの少ない新興国の方が革新的な手法や商品が生まれやすいのです。

リバースイノベーションのメリット

リバースイノベーションには、先進国にとっても新興国にとっても企業にとってもプラスとなる効果があります。

・経済市場のグローバル化を促進する

・質が良く、価格の低い商品を提供できる

・新興国に雇用を生み出す

・新しい商品が生まれる

上のようなメリットが考えられ、全方向にとってメリットがあるでしょう。

日本におけるリバースイノベーション

リバースイノベーションとは?|新しい商品開発のカタチ| Mazrica Sales (旧 Senses)  Lab. |2

日本におけるリバースイノベーションには、代表的なものとして株式会社LIXILと本田技研工業株式会社の例が挙げられます。

双方とも、リバースイノベーションによって大きな成功を収めました。

株式会社LIXIL

株式会社LIXILはベトナムのハノイ建設大学と協力してリバースイノベーションを成し遂げました。

株式会社LIXILは住宅設備機器の言わずと知れた大企業ですが、LIXILが生み出したのは水を使用しない循環型無水トイレです。

LIXILは多くの人が清潔で安全なトイレにアクセスできないという状況を変えたいと考え、この開発に乗り出し見事成功させました。

その着想の陰には、水の確保が難しいベトナムの農村の現状があります。

また、この発想とチャレンジには決して社会責任を果たしたいという思いだけではなく、「LIXILがトイレメーカーとしてグローバルに存在し続けるために、新しい型のトイレ開発が不可欠である」という強い信念もあり、新興国の市場を見ていることが窺えます。

LIXILはケニアやインドネシアでも新しいリバースイノベーションを実現しようとしているようです。

本田技研工業株式会社

本田技研工業株式会社の主力商品であるスーパーカブは世界最多量産のオートバイであり、国内外で大きな人気を誇っています。

しかし、一方で人気であるがゆえに新興国を中心にコピー商品が多く出回っていることも現状でした。

本田技研工業株式会社が海外進出の際、その現状を逆手に取ったことが大きな話題となりました。

なんと、コピー商品を生産している会社を合併することにより安価な生産拠点の獲得を可能にしたのです。

現地のニーズを取り入れつつ、スーパーカブを安価に生産することを可能にしたこの方法は離れ技というほかありません。

リバースイノベーションにも様々な形があることを痛感させられる例です。

リバースイノベーションの注意点

リバースイノベーションとは?|新しい商品開発のカタチ| Mazrica Sales (旧 Senses)  Lab. |3

先進国・新興国・企業にとって三方良しと考えられるリバースイノベーションですが、実際にリバースイノベーションを行う際には注意すべき点が多くあります。

従来のグローバル戦略とは一線を画すために、注意すべき点をきちんと確認しましょう。

既存の戦略・セグメントを再利用しない

他国で新しく事業を始めるとき、既存の製品を応用させることでコストカットが可能になると考える人がいます。
しかし、実際にはこれはリバースイノベーションを行うに当たって足枷にしかなりません。
むしろ、新しい考え方を取り入れることができないという点で有害でさえあります。

例えば、アメリカのトラクターメーカーであるJohn Deereは、インドに進出する際に新興国向けに既存のものを小型化して改良したトラクターで展開をしようとしました。
しかし、実際には既存のトラクターを改良したものではインドの農民のニーズを汲み取ってはいませんでした。
アメリカ向けのトラクターは旋回半径が非常に大きくなっており、インドの小さな農園には向かないだけでなく、それは改良では改善できないものだったのです。
それゆえ、John Deereはインドのニーズを汲んで新しいトラクターをゼロから作る必要性があったのです。
そして、インド向けにトラクターを一から作ることでJohn Deereはインドで成功を収めることができました。

こうした失敗を避けるためには、先入観を捨てることが求められます。
解決策ありきで問題を考えるのではなく、問題を先に定義して、そこからゼロベースで解決策を考えることが重要です。

価格を下げるために機能性をカットしない

価格を下げるために最も簡単なことは、機能を減らすことです。
しかし、その簡単な結論に安易に飛びつくことは避けたほうが良さそうです。

アメリカの例ですが、インドへの進出の際に機能をカットして価格を下げて販売したところ、顧客満足度が大幅に下がり長期的に見て悪影響を及ぼした例がありました。

新興国では完全な機能の商品を1/10の値段で売ることが求められています。
一見すると不可能のように思えそうですが、言い換えれば工夫が求められるということです。

1つの例とすれば、既存のデザインにとらわれないで商品を組み立てコストをカットするという方法があります。

例えば、現地で安価に製造されている商品を応用して商品に組み込みコストカットをすることが求められています。

新興国の文化的・気候的・技術的状況を無視しない

国々の間では文化・気候・技術の様々な面で違いがあり、それを決して無視することはできません。
科学の法則は普遍的であり、どこの国でも同じルールで動きますが、それ以外の要因に関しては同じルールでは動きません。

例えば、かつてイギリス人がインド人の宗教的背景を熟慮しなかったために銃の薬莢に牛豚の油を使ってしまいセポイの乱が起きたように、一方にとっては大したことではなくても、もう一方にとっては大きな問題であることが多々あります。

他にも、新興国の水不足の農村地帯に子供達が遊べるようなメリーゴーランドを置いて、子供達がそれを回すために押す動力で水を組み上げようとしたプロジェクトがあったものの、これも文化的・技術的背景を熟考しなかったために失敗に終わりました。

関連記事:デザインシンキングとは?営業に生かす「顧客のニーズを的確に汲み取る」思考法

一見win-winであるように思われた方法でしたが、子供達は大人数で毎日クタクタになるまでメリーゴーランドで遊ばねばならず、子供達の人数や体力を考えるとかなり欠陥のある方法でした。
また、雨の日や嵐の日のことも考慮に入れて設計するべきでした。

このように、一見すると可能なように見えても諸条件をもっと検討するべき例が多くあるのです。

新興国向けに売れた商品をそのまま先進国で流通させない

先進国の人々はブランド志向が強く、時として新興国では売れた商品ではあったものの、先進国では売れないということも起きます。

また、機能が充実していて安価な商品を安易に市場に出してしまうと、高価で利益率の高い自社の商品が売れなくなってしまうことも。

きちんと検討してから先進国で売り出すことが重要です。

例えば、フランスの自動車メーカー・ルノーはウクライナで6,500ドルという低価格にも関わらずサイズが大きく、収納スペースが豊富で安全性の高い車の開発に成功しましたが、それをそのまま本国で販売することはしませんでした。

安全装備をさらに充実させ、塗装もさらに豪華にすることで本国では9400ドルで売り出したのです。
その結果、この車の売上は好成績を納め、利益率を確保しながらフランス人にとって安価で機能性も十分な車を提供することができました。

このように、新興国で開発した商品をそのまま先進国でも流通させるのではなく、マーケットの状況をよく見極めることが大事です。

終わりに

リバースイノベーションは、頭打ちになった企業が新興国で新しい活路を見いだすことができるかもしれない重要な考え方です。
一方で、リバースイノベーションを行う際には注意しなくてはならない点も多くあります。
しっかりと注意点をチェックして新たなイノベーションを起こしましょう。

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