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「ノーレイティング」という評価手法を、ご存知でしょうか?

GEやGoogle、P&Gなどのグローバル企業やフォーチュン500に選ばれる企業の10%が導入していることで、最近、注目を集めています。

そこで今回は、ノーレイティングという手法がどのようなものなのか、また、導入するに当たっての注意点をご紹介していきたいと思います。

人事評価の新手法「ノーレイティング」とは?

人材評価の新手法「ノーレイティング」とは?納得感のある評価制度の作り方 | Senses Lab. | 1

レイティング(Rating)とは、格付けやランク付けを表します。

つまり、ノーレイティングはランク付けをしないという意味になります。

たとえば、現在、評価手法の主流となっている目標管理制度(MBO)では、四半期ごとや年次の成果、業績によって社員にA、B、Cなどの評価を与え、報酬や昇進を決めていきます。

ノーレイティングでは、これをやらないということです。

ですが、評価そのものをやめてしまうということではありません。

あくまでも「ランク付けをしない」のがノーレイティングだと覚えておいてください。

従来の人事制度がうまく機能しなくなった理由

人材評価の新手法「ノーレイティング」とは?納得感のある評価制度の作り方 | Senses Lab. | 2

では、なぜノーレイティングという手法が登場したのでしょうか?

それは、現在の評価手法の主流である目標管理制度(MBO)では、上手くいかなくなってしまったからに他なりません。

そこで次は、目標管理制度(MBO)が上手く機能しなくなってしまった理由について、考えてみたいと思います。

1.急激な変化に対応できない

社会や経済の状況が目まぐるしく変化し、日進月歩で進化するテクノロジーに対応していくには、年に数回の評価だけでは、とても追いつきません。

2.ノルマ管理するだけのツールと化してしまっている

目標管理制度(MBO)は、上司が部下と適切なコミュニケーションをとることで、自主的に目標達成に向けて努力させたり、組織の成功に貢献するという意識を持たせることができるというマネジメント手法です。

しかし多くの企業では本来の目的が失われ、単なる成果を評価する仕組みとしてしか機能しておらず、形骸化してしまっています。

3.形だけの評価プロセスのための作業をすることによる生産性の低下

「どうせ上司が鉛筆をなめて評価するから・・・。」と思って、帳尻を合わせるためだけに、目標を設定したことがありませんか?

形だけになってしまっている評価制度を維持するために、目標を設定する作業自体が、特に評価される側にとっては「やらされ感」を感じ、生産性を低下させる原因になっています。

4.人材の育成や確保に繋がらない

形骸化してしまっている評価を無理やり運用して、形だけの評価が続くと、正当な評価を受けたい社員のパフォーマンスやモチベーションを低下させる恐れがあります。

それによって社員の育成や、確保にも弊害を及ぼす恐れがあります。

5.相対評価や不透明な評価によるエンゲージメントの低下

A評価は部内で1名のみといった相対評価や、A評価とB評価の差がよくわからないといった不透明な評価は、上司や会社への愛着を失くしてしまいます。

6.振り返りの直近の行動だけで決まる評価

年に数回行われる評価の前には、その期または年にどんな行動をして実績を上げたのかという、振り返りが行われます。

しかし多くの上司は直近のことしか覚えておらず、曖昧な記憶やイメージ、気分で評価が行われることになります。

7.フィードバックがパフォーマンス向上に繋がっていない

評価に対するフィードバックが後付けの理由に聞こえてしまったり、タイミングが遅すぎてしまうと、部下はいつまで経っても成長することができません。

ノーレイティングで解決できる課題とは?

人材評価の新手法「ノーレイティング」とは?納得感のある評価制度の作り方 | Senses Lab. | 3

目標管理制度(MBO)の課題をご理解いただいたところで、ノーレイティングならどのように課題を解決できるのかについて、見ていきましょう。

1.外部環境の急激な変化に対応できる

ノーレイティングの手法を取った場合、上司と部下が常にコミュニケーションしながら業務を進めていきます。

そのため、外部環境の変化に合わせてすぐに目標を修正したり、業務の優先順位を変更するといったことが、スピーディーかつ柔軟に行なえます。

また、リアルタイムに近いレベルでフィードバックがあるため、失敗もすぐにリカバリーできるなど、パフォーマンスの向上にも繋がります。

2.納得感のある目標、評価ができる

目標は上司と部下とのすり合わせで決まり、さらに、適宜フィードバックをもらうことで、目標に対する評価や報酬への納得感が高まります。

評価する側の上司は直近のパフォーマンスに対してだけ評価をすればよく(他のメンバーと比べる必要もない)、評価される側の部下も形だけの評価制度のための無駄な作業をしなくてよくなります。

3.優秀な人材の確保や育成に繋がる

社員一人ひとりに対して上司が丁寧にフォローすることで、部下は確実に成長します。

また、就職や転職を考えている人にとっても、大きな魅力となります。

納得感のある評価制度の作り方

人材評価の新手法「ノーレイティング」とは?納得感のある評価制度の作り方 | Senses Lab. | 4

上記を見てなんとなくわかった方もいらっしゃると思いますが、ノーレイティングでは「リアルタイムでフィードバックを行う」ことが基本となります。

目標管理制度(MBO)でも、半期や年に一度、フィードバックをしてから評価をしていると思いますが、ノーレーティングでは、もっと小まめに、リアルタイムで行います。

その手法として用いられるのが、1on1です。

1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行うミーティングのことで、会議や査定といった堅い雰囲気ではなく、上司と部下がざっくばらんに話し合います。

例えば、部下が上司に仕事の悩みを聞いてもらったり、直近の業務に対して「こうすればもっとよかった」といったように上司が部下にアドバイスをしたり、状況に応じたリアルタイムでの目標設定、フィードバックも行います。

このようにコミュニケーションの量を増やすことで、上司と部下の間には信頼関係が築かれ、そうなると部下のモチベーションが上がり、結果として、部下のパフォーマンスを高めることができるというわけです。

ノーレイティングを導入する際に気をつけるべきポイント

いいこと尽くしのように見えるノーレイティングですが、実際に導入して、上手く運用していくのは、なかなか難しいもの。
頻繁に1on1をやればいい、というような単純なものではないのです。

そこで最後に、ノーレイティングを上手くやるために気をつける4つのポイントを、ご紹介したいと思います。

1.高度なマネジメント能力が必要

上司と部下が頻繁にコミュニケーションを取っても、
・上司が部下の悩みや相談に対して、的確な判断や対応ができない
・部下の仕事内容を評価できない

・・・という状態では、コミュニケーションを取ることでむしろ信頼が失われてしまうだけ。

つまり、ノーレイティングが成功するかどうかは、上司のマネジメント能力にかかっているというわけです。

なお、マネジメント能力を身につける(身につけさせる)には、以下の方法が有効です。

①研修を受けさせる

英語と同じように、e-ラーニングや外部の研修などで、一定以上の知識やノウハウを身につけることができます。

②ビジョンやミッションを伝える

会社のビジョンやミッション、経営に対する思いを、経営者から直接マネジメント層に対して伝えます。

これらが明確になっていることで、マネージャーは部下の仕事内容や行動を判断する基準を持つことができます。

2.内容をオープンにする

プライバシーに関するもの以外は、1on1で話し合った内容はオープンにしておきましょう。

これによって、必要があれば人事部門や経営層が支援に入ることができるようになります。

3.評価する側が報酬や昇進に関する決定権を持っている

1on1を繰り返す中で信頼関係が築かれていれば、報酬や昇進に対して不満が出ることはありません。

しかし、評価する上司に報酬や昇進の決定権がなければ、意味がありません。

かといって、トップがすべての社員と1on1をするのは不可能です。

そこで、ある程度の権限委譲をしたり、報酬・昇進に関する権限を持つ経営層との1on1をすることが必要です。

4.評価のサブシステムをつくる

表彰制度やサンクスカードなど、業績以外で会社への貢献度を表し、評価する仕組みが必要です。

できるだけたくさんの部下に納得感を持ってもらうには、こうしたサブシステムをつくることも有効です。

おわりに

ノーレイティングでは、上司のマネジメント能力や働きかけこそが、部下の評価を高め、成長に繋げていくといっても過言ではありません。

なので、もし、ノーレイティングの手法が「ちょっとめんどうだな・・・」と思ってしまったあなたは、マネージャーとしては失格です。

部下の能力を引き出すことこそが、マネジメントをする自分の仕事だと捉え直し、まずは日々、部下との対話を増やすことから始めてみてください。

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