営業活動において、顧客から「予算がない」「今は忙しい」といった断り文句を受けることは日常茶飯事ではないでしょうか?
断り文句を受けた際に、言葉に詰まって引き下がってしまうのか、適切に切り返して商談を継続できるかで、営業成績は大きく変わります。
顧客への「切り返し」の技術こそが「カウンタートーク」です。
本記事では、カウンタートークの基礎知識から、明日から使える具体的な事例、そして個人のスキルに留めず組織全体で営業力を底上げするための仕組みづくりについて解説します。
この記事の内容
カウンタートークとは
カウンタートークとは、商談中に顧客から発せられるネガティブな反応や断り文句(否定意見)に対し、肯定的に受け止めつつ、不安や懸念を解消して商談を前に進めるための切り返しトークのことです。
「応酬話法」や「反論処理」とも呼ばれます。
単に口達者に言い返すことではありません。
顧客が「No」と言う背景には、何らかの懸念や誤解、あるいは単なる現状維持バイアスが存在します。
それらを対話によって紐解き、顧客のメリットへと視点を転換させる高度なコミュニケーションスキルです。
カウンタートークを準備するメリット
事前にカウンタートークを準備しておくことには、大きく3つのメリットがあります。
| メリット | 具体的な効果 |
|---|---|
| 精神的負担の軽減 | 「断られたらどうしよう」という不安が「断られてもこう返せばいい」という自信に変わり、堂々と提案できるようになります。 |
| 通過率の向上 | テレアポや商談の多くは、最初の断り文句を返せず終了してしまいます。準備しておくことで、その後のフェーズに進む確率は格段に上がります。 |
| 営業品質の平準化 | トップセールスの切り返し方を標準化することで、経験の浅いメンバーでも一定レベルの対応が可能になります。 |
カウンタートークを準備することは、個人のスキルアップだけでなく、組織全体の営業力を底上げするための重要な戦略となります。
カウンタートークのよくある事例
実際の営業現場で頻出する断り文句に対し、どのように返すのが効果的か。
代表的な3つのパターンとトーク例を紹介します。
「予算がない」と言われた場合
最も多い断り文句です。
本当に資金がない場合もありますが、「その価格に見合う価値を感じていない(投資対効果が見えない)」という意味であるケースが大半です。
- NG対応: すぐに値引きを提案する。「そうですか…」と引き下がる。
- カウンタートーク例: 「おっしゃる通り、決して安い金額ではありませんよね。ただ、今回ご提案したシステムを導入いただくことで、月々の残業代を◯◯万円削減できる試算です。半年で元が取れ、それ以降はプラスになりますが、コスト削減の観点で再度ご検討いただけないでしょうか?」
ポイントは、単なる「コスト(出費)」ではなく、将来的に利益を生む「投資」として捉え直してもらうことです。
「今は不要」と言われた場合
「時期尚早」「現状で満足している」「忙しい」といったパターンです。
現状維持バイアスが働いている状態です。
- NG対応: 「いつ頃ならよろしいですか?」と相手任せにする。
- カウンタートーク例: 「現状で回っていらっしゃるのであれば何よりです。ただ、来年度の法改正に向けた準備は皆様今月から始められています。直前になると駆け込みで対応が難しくなるリスクがございますが、情報収集だけでも先に進めておかれませんか?」
ポイントは「今やるべき理由(緊急性)」や「機会損失のリスク」を伝え、優先順位を引き上げることです。
「決裁権がない」と言われた場合
窓口担当者が魅力を感じていても、上司の承認が得られそうにないパターンです。
- NG対応: 「では、決裁者の方にお繋ぎください」と強引に迫る。
- カウンタートーク例: 「承知いたしました。社内でのご調整、大変ですよね。もしよろしければ、上長様にご説明される際に必要な比較資料や、よくある質問への回答集を私の方で作成いたしますが、どのような情報があれば稟議が通りやすそうですか?」
ポイントは 担当者の味方となり「一緒に稟議を通すパートナー」としての立ち位置を確立することです。
カウンタートークを成功させるためのポイント
カウンタートークは単にスクリプトを読み上げるだけでは相手の心に響きません。
成功させるためのポイントを紹介します。
顧客の否定意見の背景を捉える
顧客の「高い」という言葉一つとっても、その背景には以下のような様々な理由が隠れています。
- 競合比較: 他社製品や代替手段と比較して高いと感じている
- 予算都合: 単純に今期の予算枠(絶対額)を超えている
- 価値相違: 導入効果に懐疑的で、価格に見合う価値を感じていない
表面的な言葉だけで判断せず、相手の発言の背景を捉えたうえで本当のネックがどこにあるのかを見極める必要があります。
掘り下げる質問を意識する
真意を探るためには、質問による深掘りが有効です。
「予算がない」と言われた場合、以下のような切り口で確認してみましょう。
- 時期の確認:「ちなみに、来期の予算組みはいつ頃から始まりますか?」
- 意欲の確認:「もし予算の問題がクリアできれば、導入したいと思われますか?」
掘り下げることで、単なるタイミングの問題なのか、それとも本当の断り理由が別にあるのかが明確になります。
顧客の意見を否定しない
最も重要なのは「Yes, and法」を活用することです。
多くの営業担当者は、相手の意見を肯定した後「ですが(But)」や「でも(But)」と切り返してしまいがちです。
否定してしまうと「口では同意しているが、結局は否定された」と顧客に感じさせ、心の壁を作ってしまいます。
対して「Yes, and法」は、肯定した後に「だからこそ(And)」や「実は(And)」と繋げることで、対立せずに会話を前進させるテクニックです。
- Yes: 「そうですよね、ご予算については皆様慎重になられる部分です」(まずは肯定・共感)
- And: 「だからこそ、今回は初期費用を抑えたプランをご案内したいのですが…」(その上で、提案を繋げる)
一度相手の意見を受け入れるクッションを挟むことで、対立構造を作らずに会話を続けることができます。
組織単位でカウンタートークの精度を高める方法
個人のセンスに頼るのではなく、組織全体でカウンタートークのレベルを上げるには、体系的な取り組みが必要です。
顧客の否定意見を集める
まずは現場でどのような「断り文句」が出ているか、洗い出しを行います。
漠然と「断られた」で終わらせるのではなく、具体的なデータを収集することが重要です。
- 詳細な記録: 「高かった」という一言で片付けず、「競合A社より月額が1万円高いと言われた」など、具体的な比較対象や金額感まで記録します。
- パターンの分類: 収集した意見を「価格」「時期」「機能」「信頼」などのカテゴリに分類し、どのフェーズでどの理由による失注が多いかを分析します。
日報やミーティングで「今週のNo事例」を共有し合う時間を設けるだけでも、現場のリアルな課題が見えてきます。
効果的なトークを共有する
分類された断り文句に対し、トップセールスが実際にどのような切り返しを行っているかを組織の資産にします。
- 暗黙知の形式知化: 成約に至った商談の録音データや議事録を元に、トップセールスが「どのような言葉選び」や「間の取り方」をしているかを分析し、スクリプト(台本)に落とし込みます。
- ロープレでの実践: 作成したスクリプトをただ読むだけでなく、朝礼や研修でのロープレを通じて、チーム全員が自分の言葉として話せるようになるまで練習します。
作成した「FAQ(想定問答集)」は一度作って終わりではなく、市場の変化に合わせて常にブラッシュアップし続けることが大切です。
情報共有の土台を整えておく
口頭での共有やマニュアル作成だけでは、情報はすぐに古くなり、形骸化してしまいます。
組織全体の営業力を向上させるには、SFA(営業支援システム)を活用し、日々の商談データとして「断り理由」や「成功したトーク」を蓄積していく仕組みが不可欠です。
SFAを活用することで、以下のような分析と改善が可能になります。
- 成功パターンの発見: 「この業界の顧客には、このカウンタートークが決まりやすい」という傾向を可視化できる。
- ボトルネックの特定: 「失注案件の多くは、この断り文句で止まっている」ことを突き止め、重点的な対策が打てる。
- ナレッジの標準化: トップセールスの対応履歴をチーム全員が参照でき、個人のスキルに依存しない体制が作れる。
ナレッジを属人化させず、チーム全員がトップセールスの知見を再現できるようにすることが、組織営業には重要です。
関連記事:SFA(営業支援システム)とは?機能・メリット・最新ツール比較と活用のコツ
まとめ
カウンタートークは、顧客の「No」を「Yes」に変えるための強力な武器です。
しかし、個々の営業担当者が独自に工夫するだけでは限界があります。
「いつ、誰が、どんな断り文句を受け、どう返したらうまくいったのか」。
顧客との会話の成功事例・失敗事例を組織の資産として蓄積し、全員がいつでも引き出せる状態にしておくことが重要です。
「ノウハウを共有したいけど、入力が面倒で定着しない…」という悩みを持つ企業に選ばれているのが、現場での使いやすさに特化したSFA「Mazrica Sales(マツリカセールス)」です。
現場がストレスなく使えるため、入力が習慣化され、貴重なナレッジが自然と集まります。
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