マーケティングファネルとカスタマージャーニー|認知・興味・検討・購入の各段階での施策設計
施策を動かしているにもかかわらず、どのフェーズで見込み客が離脱しているかが把握できない。あるいは、マーケティングファネルとカスタマージャーニーという言葉は知っているが、実際の施策設計でどう使い分ければいいかが明確でない。そのような状況で「とりあえず認知を増やす」「商談数を上げる」という判断を重ねると、ボトルネックではないフェーズに投資が集中し、改善が積み上がらなくなります。
この記事では、マーケティングファネルとカスタマージャーニーの定義と役割の違い、BtoBにおける使い分けの判断軸、認知から購入までの各段階での施策設計の手順、そしてファネルを使ったボトルネック特定の実務的な方法を順番に整理します。BtoBマーケティングとはの全体像や戦略立案の流れについては別記事で整理しているため、ここでは施策設計の土台となるファネルとカスタマージャーニーに絞って解説します。
マーケティングファネルとは
マーケティングファネルとは、見込み客が認知から購入に至るまでのプロセスを段階的に表したフレームワークです。各段階で顧客の数が絞り込まれていく形が漏斗(ファネル)に似ることから名付けられました。このフレームワークの最大の実用価値は、「どの段階で何人の見込み客が離脱しているか」を数値で把握できる点にあります。
BtoBではとくに、段階ごとの通過率(移行率)を計測することで、施策投資の優先順位を客観的に決める根拠になります。概念として知っているだけでは意味がなく、自社のデータと紐付けて使うことで初めて機能します。
ファネルの基本構造(認知・興味・検討・購入の4段階)
ファネルは一般的に次の4段階で構成されます。
- 認知 自社の存在・提供価値を知ってもらう段階。
- 興味・関心 自社の提供価値が自分の課題に合うと気づいてもらう段階。
- 比較・検討 複数の選択肢の中で自社を評価してもらう段階。
- 購入 最終的な意思決定をしてもらう段階。
段階を経るごとに母数が絞られ、絞られる比率(移行率)がKPI設計の基礎になります。移行率は「前のフェーズの人数を分母、次のフェーズに進んだ人数を分子」として算出します。たとえば「サイト訪問者1,000人のうち資料をダウンロードしたのが50人」であれば、認知から興味への移行率は5%です。この数値を積み上げることで、どのフェーズに施策を集中させるべきかが見えてきます。
BtoBでは「購入」の後に「継続・拡張」を加えたファネルを運用するケースもあります。既存顧客のロイヤルティ管理やアップセルを想定する場合、購入後のフェーズを組み込むことで、顧客生涯価値(LTV)の観点からも施策を評価できます。
ファネルが「古い」と言われる理由と、BtoBでの有効性
「マーケティングファネルは古い概念だ」という指摘は、主にBtoCの文脈で生まれたものです。消費者の購買行動が非線形になり、SNSや口コミを経由して認知と検討が同時並行で進むケースが増えたことで、認知から購入への一方向の流れが崩れているというのがその根拠です。
ただし、BtoBでは状況が異なります。BtoBには稟議・承認という段階的な意思決定プロセスがあり、意思決定者が複数いることがほとんどです。「担当者が関心を持つ→上長が検討を承認する→経営層が最終決裁する」という流れは、企業規模が大きいほど明確です。このような段階ごとの承認プロセスがある以上、ファネルによるフェーズ管理は引き続き有効です。
ただし、「直線的に落とす」だけのモデルとして使うことには限界があります。一度検討フェーズに入った見込み客が予算都合で離脱し、半年後に再エントリーするケースはBtoBでも頻繁に起きます。ファネルを使う際には、ループや再エントリーを想定した運用設計が必要です。「古い」と一刀両断するのではなく、「BtoBの意思決定構造と組み合わせれば有効、ただし線形の一方通行として使うのは実態に合わない」と整理するのが正確です。
マーケティングファネルの主な種類
ファネルには複数の種類があり、自社の事業モデルと目的に応じて使い分けが必要です。「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」の3種が代表的で、BtoBでどれを採用するかによって、KPIの設計と施策の優先順位が変わります。どの種類を選ぶかを最初に決めることで、部門間でのKPI統一がしやすくなります。
パーチェスファネル
認知→興味→比較検討→購入の段階を一方向で追うオーソドックスな型です。各段階の通過率を計測しやすく、ボトルネック特定に最も直接的に使えます。BtoBでは新規リード獲得から商談化・受注という流れに対応させやすく、最初に導入するならこの型が適しています。
限界は、購入後のロイヤルティや既存顧客の拡張・紹介が視野に入らない点です。新規獲得だけを追う段階では十分ですが、カスタマーサクセスやアップセルが事業上重要になってきた段階で、ダブルファネルへの移行を検討する判断材料になります。
インフルエンスファネル
顧客が購入後にファンや情報発信者になる流れを組み込んだ型です。既存顧客からの紹介・口コミを起点とした新規獲得を意識する設計になっています。BtoBでは、顧客満足度やカスタマーサクセスの結果が既存顧客からの紹介商談に直結する場合に有効です。
注意点は、紹介が発生するまでに相応の時間がかかる点です。導入初期から紹介獲得だけを頼りにすると新規獲得が止まるため、短期の新規獲得施策との並行運用が必要です。
ダブルファネル
パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせ、新規獲得と既存顧客の維持・拡大を同時に扱う型です。LTVの最大化を意識したSaaSや継続課金型ビジネスで特に有効で、マーケティング施策とカスタマーサクセス施策を一枚の図で整合させられます。
運用上の注意点は、新規獲得と既存顧客拡張でKPIが異なるため、担当部門の役割分担を明確にしないとKPIが混在することです。「誰が何のフェーズを担うか」を先に決めてからダブルファネルを導入しないと、責任の所在が曖昧になります。最初からダブルファネルで全部管理しようとすると運用が複雑になるため、まずパーチェスファネルで新規獲得の移行率を安定させてから拡張するという順序が現実的です。
カスタマージャーニーとは、ファネルとの違い
カスタマージャーニーはマーケティングファネルと混同されやすいですが、役割と使う場面が異なります。ファネルが「どの段階に何人いるか」という量的な把握を得意とするのに対し、カスタマージャーニーは「顧客がどんな状況で、何を感じながら、どのタッチポイントを経て動くか」という質的な体験の流れを描くものです。両者は対立するものではなく、ファネルで量的なボトルネックを特定した後にカスタマージャーニーで質的な原因を深掘りするという組み合わせが実務に合っています。
ファネルとカスタマージャーニーの違い
2つのフレームワークは次の5つの観点で整理できます。
| 観点 | マーケティングファネル | カスタマージャーニー |
|---|---|---|
| 主な目的 | 段階ごとの通過率(量)の把握 | 顧客体験の流れ(質)の把握 |
| 視点 | 企業・マーケター側 | 顧客・買い手側 |
| 粒度 | マクロ(集団の数値) | ミクロ(個人の行動・感情) |
| 主な用途 | KPI設定・ボトルネック特定 | タッチポイント設計・コンテンツ設計 |
| 更新頻度 | 定期的な数値更新 | 仮説検証後に随時改訂 |
ファネルは「どこに問題があるか」を数値で特定するツールであり、カスタマージャーニーは「なぜ問題が起きているか」を顧客の視点で掘り下げるツールです。どちらか一方だけで施策設計を完結させようとすると、量は把握できても改善の手が出ない、あるいは体験は描けても優先順位がつけられないという状況に陥ります。
BtoBではどちらを先に作るべきか
実務上の優先順位は、ファネル先行が基本です。「どのフェーズで何人が離脱しているか」という量的な問題を把握しないままカスタマージャーニーを作ると、体験設計の優先順位がつけられません。全フェーズのジャーニーを同時に描こうとすると、工数だけかかって施策改善に結びつかない「作って終わり」の成果物になりがちです。
実務上の推奨手順は2段階です。まずファネルで量的なボトルネックを特定し、移行率が最も低いフェーズを絞り込みます。その後、そのフェーズだけを対象にカスタマージャーニーを描き、顧客が何を感じ、何を求めているかを深掘りします。この順序であれば、ジャーニーマップが具体的な施策改善に直結します。
ただし、新規事業の立ち上げなど「まだデータがない」段階では、逆の順序も有効です。カスタマージャーニーで仮説を作り、それをファネルのKPI設計に落とし込むという流れです。既存データがある組織ではファネル先行、データがない段階ではジャーニー先行という使い分けが合理的です。
組み合わせの実務設計
ファネルとカスタマージャーニーを組み合わせる具体的な場面として、「検討→購入」の移行率が低いと判明したケースを考えます。この場合、まず検討フェーズに絞ってカスタマージャーニーを描きます。顧客がどのタッチポイントで情報収集し、どこで意思決定が止まっているかを明らかにすることで、商談資料の改善なのか、決裁者向けのROI説明資料の不足なのか、という具体的な改善仮説が出てきます。
BtoBでもう一点押さえておきたいのは、意思決定者・影響者・利用者のそれぞれでジャーニーが異なる点です。ファネルの「検討」フェーズ1つをとっても、担当者は機能比較を、上長は予算対効果を、IT担当者はセキュリティ要件を同時並行で検討しています。そのため「検討フェーズのジャーニー」を描く際には、誰のジャーニーかを先に決める必要があります。リードの種類と定義(MQLとSQLの定義など)については別記事で詳しく解説しています。
ファネルの各段階に対応した施策設計
ファネルの構造を理解した後に問われるのは、「各段階でどの施策を使うか」という判断です。施策の選択はファネルのどのフェーズに働きかけるかを起点にするべきで、施策の種類や流行から選ぶと、ボトルネックになっていないフェーズに投資する結果になります。以降では認知・興味・検討・購入の各段階を分けて、BtoBでの代表的な施策と各段階のKPI設定の考え方を整理します。
認知フェーズ:存在を知ってもらう
認知フェーズの目的は、ターゲット企業の意思決定者・担当者に自社の存在と提供価値を知ってもらうことです。代表的な施策はSEOコンテンツ(業界課題・用語解説系)、展示会・セミナー、PR・ニュースリリース、ディスプレイ広告・リスティング広告などです。
BtoBで特に注意すべきは、認知の母数を単純に増やすことよりも「自社が解決できる課題を持つ企業層への認知」を優先するという点です。ターゲットの業種・企業規模・役職を先に絞り込まないと、流入数は増えても次フェーズへの移行率が低くなります。たとえばSEOコンテンツでは、一般的な解説記事よりも特定の業務課題に直結するテーマの記事が、ターゲット属性の読者を引き込みやすくなります。KPIの例としては、自然検索流入数、ターゲット属性のサイト訪問者数、展示会での名刺獲得数などが挙げられます。
興味・関心フェーズ:課題と照合してもらう
興味・関心フェーズの目的は、自社の提供価値が読者自身の課題に合うと気づいてもらうことです。このフェーズでは「買ってほしい」というメッセージは逆効果で、課題の解像度を上げる情報提供が求められます。
代表的な施策は課題特定型コンテンツ(導入事例・比較記事・実践ガイド)、ウェビナー・オンラインセミナー、メルマガ・ステップメール(ナーチャリング)です。ナーチャリングはすぐに商談化しない見込み客との関係を維持し、検討タイミングが訪れたときに自社を思い出してもらうための活動です。MAを活用したナーチャリングシナリオの設計については、デマンドジェネレーションの解説記事で詳しく扱っています。KPIの例としては、資料DL数・セミナー参加数、メール開封率・クリック率、ページ滞在時間などが挙げられます。
比較・検討フェーズ:選定基準で評価してもらう
比較・検討フェーズの目的は、複数の選択肢の中で自社を「候補に残す」「優先順位を上げる」ことです。BtoBではこのフェーズが最も長く、複数の意思決定者が関与します。代表的な施策は比較ページ・競合比較コンテンツ、導入事例・ROI計算ツール、個別デモ・トライアル提供、商談資料・提案書の品質向上です。
このフェーズのBtoBとしての特性は、決裁者・利用者・IT担当者など、役割ごとに「評価したいポイント」が異なる点です。担当者は機能の使いやすさを、経営層はコストと期待効果を、IT担当者はセキュリティと連携要件を評価します。それぞれに対応したコンテンツや資料を準備しないと、一部の関係者の懸念が解消されないまま検討が止まる原因になります。KPIの例としては、商談化率、デモ申込数、問い合わせの質(MQL→SQL転換率)などが挙げられます。
購入フェーズ:意思決定の背中を押す
購入フェーズの目的は、検討から決断への移行を支援することです。このフェーズでは機能の優位性を主張するよりも、「不安の除去」と「手続きの簡略化」が効きます。代表的な施策は導入支援の手厚さの提示、契約・導入フローの可視化、社内説明用資料の提供、限定オファー(期間・規模)です。
BtoBで特有の注意点は、稟議・承認プロセスがあるため、担当者だけを納得させても受注に至らないケースがある点です。経営層や決裁者が「なぜこの投資をするのか」を説明できるROI根拠やリスク軽減の説明を別途用意することが、受注確率を高めるうえで重要です。KPIの例としては、受注率、平均受注単価、受注リードタイムなどが挙げられます。
ファネルを使ったボトルネックの特定と改善手順
ファネルを「概念として知っている」と「実務で使っている」の違いは、各段階の通過率を実際のデータで把握し、改善の仮説を持っているかどうかにあります。「施策を試したが成果が出ない」という状態の多くは、ボトルネックになっていないフェーズに施策を集中させていることが原因です。ここでは、ファネルのどこが詰まっているかを特定するための4ステップを整理します。施策の優先順位はボトルネックの位置によって変わるため、この手順を経ずに施策を決めることは避けるべきです。
ステップ1:各フェーズの移行率を計測する
最初の作業は、各フェーズの出口を数値で定義することです。「認知→興味」の移行であれば、認知フェーズの母数(例:サイト訪問者数)と興味フェーズへの到達数(例:資料DL数)を分母と分子として設定し、通過率を算出します。
計測に必要なデータ源としては、サイトアクセス解析、フォーム送信データ、MAのリードスコア推移、SFAの案件フェーズ数が挙げられます。例えば、Mazrica Salesのような SFA/CRM では、各フェーズの移行率を案件データから計測できるため、「認知から商談化」「商談化から受注」という流れを数値で可視化できます。現場でよくある問題は、フェーズの定義が部門によって異なることです。営業が「商談化した」と呼ぶ状態とマーケが「MQL」と呼ぶ状態が重なり合い、同じ「リード」でも指している実態が違うケースは珍しくありません。計測を始める前に「どの状態をどのフェーズの入口・出口とするか」を営業とマーケで揃えることが前提です。
ステップ2:移行率が最も低いフェーズを特定する
各フェーズの移行率を並べると、他と比べて著しく低いフェーズが見えてきます。このフェーズが現時点のボトルネックです。
業種・商材別に詰まりやすい箇所の傾向として、認知から興味への移行では「リード獲得量の絶対数が少ない」というケース、興味から検討への移行では「リードの質(業種・規模・役職の適合性)が低い」というケース、検討から購入への移行では「商談が長期停滞する・受注率が低い」というケースが代表的です。営業生産性の考え方を補助線として使うと整理がしやすくなります。営業生産性は「商談数×受注率×単価÷工数」という構造で捉えられます。商談数の詰まりは認知・興味フェーズ、受注率の詰まりは検討・購入フェーズ、工数の詰まりは手動処理や情報の散在が原因であることが多く、ファネルのどこが詰まっているかとKPIのどこが改善対象かが対応します。この対応関係を整理しておくと、部門をまたいで改善の優先順位を説明しやすくなります。
ステップ3:詰まりの原因を仮説立てる
原因の仮説は大きく2つに分類できます。「量の問題」(施策の露出・接触数が足りない)と「質の問題」(接触はしているが内容が刺さっていない・次の行動に誘導できていない)です。
量の問題であれば、接触数を増やす施策(広告予算の増額・コンテンツ量の増加)が仮説の候補になります。質の問題が疑われる場合は、カスタマージャーニーを活用します。そのフェーズの顧客がどんな状況で、何を感じ、どの情報を求めているかをジャーニーで描き直すと、コンテンツの内容改善や商談アプローチの見直しという具体的な仮説が出てきます。「なんとなく刺さっていない気がする」という感覚的な課題認識を具体的な改善仮説に変換するためにカスタマージャーニーを使うというのが、両者を組み合わせる実務上の意味です。
ステップ4:施策を設計して検証する
仮説が決まったら、「何を変えるか」「どのKPIで評価するか」「いつまでに判断するか」の3点を先に決めてから施策を動かします。この3点を決めずに施策を走らせると、終わった後も「効いたのかどうか」が判断できません。
特に注意すべきは、複数の施策を同時に変えないことです。認知施策の改善とコンテンツの刷新を同時に行うと、どちらが移行率の変化に影響したかが分からなくなります。1回の検証で変える変数は1つに絞ることが原則です。BtoBは商談サイクルが長いため、検証結果を評価できるまでの期間を現実的に設定する必要があります。認知から商談化までを評価するには最低でも3〜6ヶ月のサイクルを見込む設計が必要です。「1ヶ月試して効果がなかった」という評価は、BtoBの商談サイクルの長さを無視した早期終了になるリスクがあります。
ファネル設計・運用でよくある失敗と回避策
ファネルとカスタマージャーニーの概念を理解していても、運用上の落とし穴にはまって成果につながらないケースは多くあります。失敗パターンを事前に把握しておくことで、設計段階での見直しが可能になります。
失敗1:ファネルの定義が組織で統一されていない
営業が「商談化した」と言う状態とマーケが「リードが増えた」と言う状態が実は重なり合っており、KPIを合わせると数字が合わないという事態が起きます。「移行率を計測しようとしたが、分母と分子の定義が部門で違うので比較できない」という状況は、ファネルを導入しようとした組織で頻繁に発生します。
回避策は、ファネルの各フェーズの入口・出口の「定義と判断条件」を営業・マーケが共同で決め、SFAやMAのデータ定義に反映させることです。定義の統一を先に行わないと、計測そのものが意味をなしません。マーケと営業の定義統一の進め方については別記事でも整理しています。
失敗2:全フェーズを同時に改善しようとする
認知施策・ナーチャリング・商談改善を同時に走らせ、リソースが分散して何も改善しないという状態が起きます。「全フェーズを底上げしよう」という意図自体は間違いではないですが、リソースが限られている中で全部を動かすと、個々の施策の質が下がります。
回避策は、ステップ2で特定したボトルネックに集中することです。最もKPIインパクトが大きいフェーズを1つ選び、そこに施策リソースを集中させてから、改善を確認した後に次のフェーズに移るという順序が現実的です。
失敗3:カスタマージャーニーを作ったが使われない
マーケ担当者がジャーニーマップを作成したが営業チームに共有されず、施策との接続も曖昧なまま「作って終わり」になるケースがあります。ジャーニーマップ自体は完成度が高くても、それが何のために使われるかが決まっていないと、共有しても活用されません。
回避策は、ジャーニーマップを作る前に「どのフェーズの、どの施策を改善するために作るか」という目的を先に決めることです。「ファネルの検討→購入の移行率が低い。その原因をジャーニーで掘り下げる」という具体的な問いを持って作り始めることで、施策改善への接続が明確になります。
まとめ:ファネルで詰まりを見つけ、ジャーニーで原因を掘る
マーケティングファネルとカスタマージャーニーは、どちらが優れているかという比較の対象ではありません。ファネルは「量的なボトルネックを数値で特定する」ツールであり、カスタマージャーニーは「質的な原因を顧客視点で掘り下げる」ツールです。この役割の違いを理解して使い分けることが実務の出発点です。
BtoBでリソースを無駄にせず施策を絞り込むには、「ファネルで量的なボトルネックを特定し、詰まっているフェーズのカスタマージャーニーで質的な原因を掘り下げる」という順序が合理的です。どちらか一方を使うのではなく、ファネルの結果を受けてジャーニーを使うという組み合わせが実務に合っています。
次の一歩は小さく始められます。自社のファネルの各フェーズを見渡して、「感覚的に最もリードが止まっているフェーズ」を1つ選ぶだけで構いません。そのフェーズを特定することが、優先すべき施策を決める唯一の根拠になります。数値がすでにあればそれを使い、なければ感覚でよいので1つのフェーズを仮決めして、そこから計測と仮説の設計を始めることが現実的な第一歩です。
BtoBマーケティングとはでは全体像や戦略立案のフレームワークを整理しています。施策の種類や組織設計を続けて確認したい場合はそちらを参照してください。
よくある質問
Q マーケティングファネルとカスタマージャーニーは同じものですか?
別のものです。ファネルは各段階の顧客数と通過率を量的に把握するフレームワーク、カスタマージャーニーは顧客が体験する流れを質的に描くフレームワークです。ファネルで「どこが詰まっているか」を特定してから、カスタマージャーニーで「なぜ詰まっているか」を深掘りするという組み合わせが実務に合っています。
Q BtoBでマーケティングファネルは今でも有効ですか?
BtoBでは有効です。BtoCと異なり、BtoBには稟議・承認という段階的な意思決定プロセスがあるため、ファネルの各フェーズでの移行率管理がボトルネック特定に直接使えます。ただし、購入後のロイヤルティや紹介を含める場合はダブルファネルなどの拡張型が適しています。
Q パーチェスファネルとダブルファネルはどちらを使うべきですか?
事業モデルによります。新規顧客獲得が最優先の段階ではパーチェスファネルでKPIを絞る方が管理しやすく、継続・拡張(アップセル・紹介)も見たいSaaS型や継続課金型ビジネスではダブルファネルが向いています。最初からダブルファネルで全部管理しようとするとKPIが複雑になり運用が難しくなるため、まずパーチェスファネルで安定させてから移行する順序が現実的です。
Q カスタマージャーニーマップはどのくらいの頻度で更新すべきですか?
「定期的に更新する」よりも「ファネルの特定フェーズで数値が変化したタイミングで更新する」という運用が現実的です。BtoBは商談サイクルが長いため、半年〜1年に1回の定期見直しに加え、移行率が大きく下がったフェーズが出たときに随時見直す設計が合っています。
Q マーケティングファネルのKPIは何を使えばよいですか?
フェーズごとに異なります。認知段階ではサイト訪問数・ターゲット属性のリーチ数、興味段階では資料DL数・ウェビナー参加数、検討段階では商談化率・MQL→SQL転換率、購入段階では受注率・受注リードタイムが代表的な指標です。部門をまたいでKPIの定義を統一することが、指標を意味のあるものにする前提条件です。







