急速に進化するデジタル化の波の中で、2026年の営業活動はどのように変わっていくのでしょうか。
これまでの数年間は、「営業側がAIを使いこなせるかどうか」が注目されてきました。しかし2026年を見据えると、その前提自体が一段階進みます。買い手側もAIを活用し、情報収集や比較、意思決定を進めることが当たり前になるからです。
その結果、営業活動において重要になるのは、情報の出し方、整理の仕方、そして顧客の判断をどこまで支援できるかという点です。
本記事では、2026年に注目すべき営業トレンドを8つ取り上げ、「自社では何から変えるべきか」を考えるための視点を整理します。
この記事の内容
買い手主導の情報収集が加速
まず押さえたいのは、営業活動の前提そのものが変わっている点です。買い手が情報を持つほど、商談の意味も、営業の役割も変わります。
商談前に購買判断が進む時代へ
BtoBの営業現場では、すでに「初回商談で初めて製品説明をする」という流れが成り立たなくなりつつあります。
顧客はWebサイト、比較記事、導入事例、SNS、さらには社内外のネットワークを通じて、事前に多くの情報を収集しています。
特に近年は、AIツールの普及によって情報収集のスピードと質が大きく向上しました。
顧客は短時間で複数の選択肢を比較し、自社に合いそうな候補をある程度絞り込んだ状態で商談に臨むようになっています。
そのため、営業側が想定している以上に、購買判断は前に進んでいるケースが珍しくありません。
営業に求められる役割の変化
こうした状況では、営業担当者に求められる役割も変わります。
たとえば初回商談で、顧客から「機能や価格は一通り見ました。自社の場合、どこがネックになりそうかを知りたい」といった質問が出るケースです。
このとき、製品説明を丁寧に繰り返しても、顧客の関心には十分応えられません。
むしろ評価されるのは、「この条件だと導入後にここでつまずきやすい」「この判断を先にしておかないと、後で社内調整が難しくなる」といった、検討を前に進めるための整理や助言です。
営業は、情報を一方的に伝える存在ではなく、顧客の頭の中にある情報を整理し、意思決定をしやすくする役割へとシフトしていきます。
データと専門性の重要性が高まる
この役割の変化を支えるのが、データと専門性です。顧客がAIを使って情報を集めている場合、感覚的な表現や抽象的な言い回しは説得力を持ちません。
重要なのは、数字や前提条件を含めて語れることです。「どのような企業で」「どのような条件下で」「どの程度の効果が見込めるのか」、などの情報を整理して提示できる営業は、比較検討の最終段階で信頼を得やすくなります。
AIエージェントの実務導入が進む
次に注目すべきは、AIの役割そのものが変わっていく点です。2026年に向けて、AIは単なる補助ツールから、業務を進める存在へと進化していきます。
関連記事:AIエージェントとは?導入メリットやビジネスでの活用法・成功事例【2026年最新】
AIは支援ツールから実務担当へ
これまでの生成AI活用は、メール文面の作成や議事録の要約など、特定の作業を効率化する用途が中心でした。いわば「人の手を助ける道具」という位置づけです。
しかし最近では、AIが複数のタスクを横断しながら業務を進める、いわゆるAIエージェント的な活用が現実味を帯びてきました。
営業プロセス全体の中で、AIが一定の役割を担い、自律的に動くことが期待されるようになっています。
営業現場で進むAIエージェント活用
営業現場では、まず準備業務から変化が始まります。ターゲット企業の調査、業界動向の整理、仮説の構築といった作業は、時間がかかる一方で、一定の型があります。
AIエージェントを活用すれば、こうした情報収集と整理を自動で行い、商談に向けた下書きを用意できます。
担当者は、その内容を確認し、精度を高めることに集中できます。商談後も同様で、要点整理やフォロー内容の草案作成をAIが担うことで、対応スピードが向上します。
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人とAIの役割分担が成果を左右する
ただし、AIを導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。重要なのは、人とAIの役割分担を明確にすることです。
AIは情報整理や選択肢の提示、下書き作成に強みがあります。
一方で、最終判断や顧客との合意形成、責任を伴う意思決定は人が担う必要があります。
この線引きを意識し、まずは準備や記録といった定型業務からAIに任せることで、無理なく活用を広げていくことができます。
シグナル統合とネクストアクション提示が標準化
ツールが増えるほど、情報は増えます。しかし情報が増えるほど、現場は動きにくくなる傾向にあります。ここを解決するのが「統合」と「次の一手」です。
ツール分断・アラート過多の課題
MA、CRM、Web行動データなど、顧客に関する情報は複数のツールに分散して管理されがちです。
その結果、通知やアラートが増えすぎてしまい、現場ではどれを重視すべきか分からなくなることがあります。
こうした状態が続くと、ツールがあるにもかかわらず、最終的には経験や勘に頼った判断に戻ってしまうという問題が起こります。
特に営業マネージャーの立場だと、ダッシュボードやレポートが整っていても、現場の行動が変わらないと意味がありません。現場の負担が増えるだけでなく、データに対する信頼も下がっていきます。
行動につながるシグナル統合
たとえば、資料閲覧や価格ページの訪問といった単発の行動だけでは、営業が動く判断材料としては弱い場合があります。
しかし、複数の行動が重なり、さらに企業側の動き(組織変更や投資計画など)と結びつくことで、意味のあるシグナルになります。
このように、情報を文脈ごとに整理し、「なぜ今注目すべきなのか」が分かる形にすることが重要です。
営業判断を支援するネクストアクション
統合されたシグナルは、ネクストアクションまで提示されて初めて価値になります。
「この条件が揃ったら、誰が、何を、いつまでにするか」が明確だと、現場は迷いません。
取り入れる際のポイントは、最初から完璧を目指さないことです。まずは自社の勝ちパターンに近いシグナルだけを選び、それに対する行動ルールを作るところから始めましょう。
AI Opsの重要性が増す
AI活用が進むほど、「便利さ」の裏で運用の問題が出ます。2026年は、AIを現場に根づかせるための管理と整備が重要になります。
関連記事:AIOpsとは?重要性や活用シーンをわかりやすく解説
AIツール乱立が招く新たな問題
AIツールは導入が簡単な分、部門ごと・チームごとに増えやすい傾向があります。
すると「どのツールが公式なのか分からない」「同じ用途で複数のツールが並立している」「出力の品質が揃わない」といった混乱が起きます。便利なはずのAIが、逆に現場の負担になることもあります。
さらに厄介なのは、混乱が起きると現場がAI全体に不信感を持つ点です。「当てにならない」「結局人がやった方が早い」という空気になると、せっかくAIツールを導入したのに、定着しないという結果を迎えることになるかもしれません。
データ品質とガバナンス管理
AI活用の土台になるのはデータです。CRMの情報が古い、入力粒度がバラバラ、重複が多い、といった状態ではAIが正しく働きません。
AIはそれっぽい文章を出せるため、誤りが発見されにくく、後で信頼を失いやすいのも特徴です。
だからこそ、データ品質の管理が重要になります。具体的には、入力ルールの統一、更新頻度の見直し、最低限の項目を正しく埋める運用が必要です。
RevOpsからAI Opsへの進化
運用・統制の考え方は、これまでのRevOpsにも通じますが、AI時代にはさらに重要性が増します。
AIが提案の下書きや判断材料の整理に入り込むほど、出力の前提となるデータやルールが組織の競争力になります。
取り入れる際のポイントは、大掛かりな体制を作ることではありません。まずは「参照してよいデータは何か」「更新責任は誰か」「最終判断は誰が持つか」を決める。最低限のガイドラインを置くだけで、現場の混乱と不信感を大きく減らせます。
CRMの自動入力・自動更新が当たり前に
CRMは「入力してもらうもの」から「自然に貯まるもの」へ変わっていきます。営業現場が抱えてきた入力負担の問題は、AIの普及によって現実的に解消される方向に進みます。
関連記事:AIを搭載したCRMとは?導入メリットや主要機能を解説
CRM入力が定着しなかった理由
CRM入力が定着しない背景には、入力が目的化しやすいという構造があります。
現場としては、入力してもすぐに自分の得にならない、忙しいと後回しになる、という状態になりがちです。
その結果、データが古くなり、使えなくなり、さらに入力されなくなる。これが、CRM入力によくある悪循環です。
特に中堅〜大企業では、入力ルールの複雑さや承認フローも絡み、入力の心理的ハードルが上がりやすい傾向があります。
マネジメントが求める粒度と現場が耐えられる粒度の差が、CRM定着の壁になります。
自動記録・自然言語操作の普及
これからは、商談メモや会話ログから要点が自動抽出され、CRMに反映される仕組みが一般化していきます。
営業はゼロからCRMに入力するのではなく、AIが作った下書きを確認・修正するだけで済むようになります。これだけで入力負担は大幅に下がります。
使われるCRMに変わる条件
使われるCRMの条件は明確で、営業の負担が減ることが前提です。
入力が楽になるだけでなく、入力した情報が自分の仕事を助ける形で戻ってくることが重要です。たとえば次回アクションが整理される、フォロー漏れが減る、案件レビューがスムーズになる、などです。
取り入れる際は、最初から全項目の自動化を狙う必要はありません。まずは「次回アクション」「関係者」「懸念点」といった、成果に直結しやすい項目から整える。ここが回り始めると、CRMの価値が現場で実感され、定着が進みます。
パーソナライズは精度重視へ
パーソナライズは雑にやると逆効果の時代へ移ります。これからは、量ではなく精度が問われます。
テンプレ型パーソナライズの限界
社名や担当者名を差し込むだけのパーソナライズは、受け手にとって特別な体験になりにくくなっています。
営業メールや提案が大量に届く中で、形式的な個別化は「テンプレを配っているだけ」と見られやすいからです。
問題なのは、テンプレ型のパーソナライズが信頼を損なう可能性がある点です。
顧客の状況とズレた内容をそれっぽく送ると、「ちゃんと見ていない」という印象が残り、関係構築にマイナスになります。
AIによる高精度パーソナライズ
2026年に求められるのは、表現の工夫ではなく文脈に合った情報提供です。
顧客の事業状況、業界の動き、検討フェーズを踏まえ、「今この論点が重要になる理由」を示すことが、パーソナライズの本質になります。
AIはこの領域でも力を発揮します。公開情報や過去のやりとりを整理し、提案の叩き台を作る。営業はそこに自社の知見を足し、顧客の状況に合わせて調整する。
こうした分業ができると、精度を落とさずに個別化を広げられます。
信頼を損なわないための注意点
注意点は、やりすぎないことです。相手が知らないはずの情報に踏み込むと、不気味さや警戒心につながります。精度を上げようとして、逆に信頼を落とすのは避けたいところです。
ポイントは、事実と解釈と提案を分けることです。
まず確認できる事実を示し、そこから妥当な解釈を置き、最後に提案を出す。この順序が守られていると、パーソナライズは自然になり、信頼を損ねにくくなります。
2026年に求められるのは、表現の工夫ではなく文脈に合った情報提供です。顧客の事業状況、業界の動き、検討フェーズを踏まえ、「今この論点が重要になる理由」を示すことが、パーソナライズの本質になります。
AIはこの領域で力を発揮します。公開情報や過去のやりとりを整理し、提案の叩き台を作る。営業はそこに自社の知見を足し、顧客の状況に合わせて調整する。こうした分業ができると、精度を落とさずに個別化を広げられます。
買い手のAIに営業する時代へ
買い手がAIで比較検討を進めるなら、営業側もAIに伝わる情報を整える必要があります。
2026年は、人に届く前にAIが情報を選別する場面が増えます。
買い手側のAI活用が進む背景
購買担当者は、候補企業の情報収集、比較、要約をAIで進めやすくなっています。特に検討初期では、すべての資料を人が丁寧に読むことは現実的ではありません。
AIに一次整理させ、候補を絞ってから人が深掘りする流れが一般的になります。
このとき、AIの整理結果が購買プロセスに影響します。つまり、営業が接点を持つ前に、候補から外れてしまう可能性が高まります。
このことを、営業情報の設計課題として捉える必要があります。
AIに伝わる営業情報とは
AIに伝わりやすいのは、構造化された情報です。導入期間、コスト感、適した企業規模、必要体制、制約条件などが明確に整理されているほど、比較対象として残りやすくなります。
反対に、抽象的な強みや感覚的な表現は判断材料になりづらく、埋もれやすい傾向があります。
たとえば「柔軟に対応できます」より、「どの範囲まで標準対応で、どこから個別対応になるか」「個別対応に必要な条件は何か」といった情報の方が、AIにとっても人にとっても比較しやすい情報になります。
数値と根拠がより重要になる
取り入れる際のポイントは、数字を増やすことではなく、根拠と前提を明確にすることです。誇張した数値は短期的には目を引いても、比較段階で齟齬が出て信頼を損ねます。
重要なのは「どの条件で効果が出たのか」「どのケースでは向かないのか」を丁寧に示すことです。
結果としてこれは、人に対する営業でも強みになります。AIに伝わる形に整えた情報は、人の意思決定にも役立つからです。
情報の誠実さが競争力になる、という見方が2026年にはより強まります。
ハイブリッド営業と信頼構築が差になる
デジタル化が進んでも、営業が人の仕事であることは変わりません。ただし、どこで人が価値を出すかは変わります。
2026年は、デジタルと対面の使い分け、そして信頼構築の設計が成果を左右します。
デジタル前提の営業活動
オンライン商談、チャット、非同期の資料共有は、すでに多くの現場で標準になりました。
顧客側も効率的な情報取得を求めており、すべてを対面で進める必要はありません。むしろ必要なところだけ濃く話す方向に進みやすい状況です。
この前提を受け入れたうえで営業プロセスを設計できるかどうかが、マネージャーにとって重要になります。
オンラインを単なる代替手段ではなく、情報共有と整理の中心として位置付けると、チームの生産性が上がります。
対面営業が価値を持つ場面
一方で、対面の価値が消えるわけではありません。高額・複雑・関係者が多い案件ほど、最後は「納得して決められるか」が重要になります。
懸念点の解消、関係者の合意形成、心理的な安心感。こうした要素は、対面(またはそれに近い濃いコミュニケーション)で効果が出やすい領域です。
たとえば最終局面で、反対意見が出ている部署の不安を言語化し、論点を整理し、意思決定者が腹落ちできる形に整える。
これはデジタルだけでは埋めにくい価値であり、2026年はむしろここが差になっていきます。
ハイブリッド営業成功のポイント
ポイントは、使い分けを属人化しないことです。オンラインは情報共有と論点整理、対面は合意形成と信頼構築、といった場の役割を組織として共有すると、再現性が上がります。
担当者のセンス任せにしない設計が重要です。
また、ハイブリッド営業を成功させるには、顧客側の体験も整える必要があります。どこに情報がまとまっているか、誰に何を聞けばよいか、次に何が起こるか。
こうした見通しが立つほど、顧客は安心して検討を進められます。
まとめ
2026年の営業トレンドを通して見えてくるのは、「説明する営業」から「判断を支える営業」への転換です。
買い手主導の情報収集が加速し、AIエージェントの実務導入が進む中で、営業の価値は情報量ではなく、整理と解釈、そして合意形成へと移っていきます。
同時に、AIは便利な道具である一方、運用設計を誤ると現場の負担や不信感を生む可能性もあります。
だからこそ、AI Opsの視点でデータとルールを整え、CRMの自動化やシグナル統合によって行動が回る仕組みを作ることが重要になります。
すべてを一度に変える必要はありません。自社の課題に近いトレンドから、段階的に取り入れていく。そうすることで、AIエージェント時代でも成果につながる営業組織に近づいていくはずです。
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